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生産者訪問・商品学習会

「海とともに生きる、海女」

2023年8月17日、コープ自然派京都(商品委員会)は、三重県鳥羽市相差(おうさつ)町で海女を営む野村浩美さんと中村文美さんをお招きして肌で感じる海の変化を聴き、浜辺に打ち上げられたシーグラスや貝殻でアクセサリーやマグネットをつくり、海を感じました。

右から手作りアクセサリーを身にまとった杉原理事、浩美さん(海女歴23年)、文美さん(海女歴7年)、児島理事。

海と漁業文化を守るために

 コープ自然派事業連合商品委員会は、2022年度活動方針に「海の環境に目を向け、国産自給率向上や漁業文化を守るため、水産の取組をすすめます」と掲げ、みえぎょれん販売、磯部漁業協同組合などを訪問。漁業者、地域、行政が一体となって鳥羽の海を守る取り組みを学びました。今年度は海の環境を守り、未利用魚の活用を広げるために様々な企画を展開しています。

海女漁は日本の文化

 伊勢湾の玄関口鳥羽は、県内屈指の好漁場、日本の縮図ともいえる豊富な漁業の種類があります。鳥羽市の南にある相差町は海女漁が盛んで、海女の在籍数が全国No.1!最高年齢80代を筆頭に80名ほどが現役海女として活躍。地上では杖が支えでも海の中は自由自在、定年はありません。

 海女漁は黒いウエットスーツを身にまとい、素潜りします。潜水時間は長くて50秒ほど、なんと4〜5m潜水するそうです。1日の潜水時間の合計は1時間半。時間が決まっていることや、素潜りを行うのは乱獲防止のため。漁獲ルールは漁港ごとに違いますが、おおよそ同じルールのもと漁をします。また、文美さんの師匠はじめ、相差町には男性の海人も数人在籍しています。文美さんは「海の中は水族館みたいでおもしろい。この文化を継承していくために、海女に興味を持つ人たちに体験してほしい」と子どもたちに話します。

1年間の海女の仕事

 5〜9月はあわび、赤ウニの漁に出ます。岩ガキ、とこぶしなども収穫できますが、現在では市場に出すほどの収穫量がありません。10〜12月はナマコ、サザエなど。年末は28日頃まで潜っています。昔は寒さで手がしびれて大変でしたが、ここ数年は海が温かくてそこまで苦労しないとか。3〜5月は磯の香りが漂う季節、天然わかめやひじきなどの海藻を収穫します。相差町ではひじきの絨毯が春の光景でしたが、現在は収穫量減少のため、なかなか見られない光景となりました。「水温の変化、生き物の変化を身をもって感じています」と切実な想いを伝えてくれました。

 2021年には強毒性の赤潮や、黒潮の蛇行などで海の環境が脅かされる状況が続いています。「海女を本業としたいけれど、副業は必然なのが実情。海に潜るたび、このアワビが最後かもしれない。そう思いながら収獲を行っています。海の現状を知らせることが海女のできることと考え、ボランティア団体を立ち上げました」と話します。

ボランティア団体「相差machioko志」

 海藻をエサや住みかとする貝類が減少傾向にあるのは、黒ウニ、アイゴ、ブダイなどが原因のひとつ。これらの魚は駆除対象ですが、大事ないのち。加工次第でおいしく頂けることに注目し「相差machioko志」を立ち上げ、未利用魚を使った商品の開発・販売を手掛けています。アイゴはオイル煮や干物にし、海藻を練りこんだ揚げ餅を作るなど、地元食材を使って趣向を凝らした商品が新たな特産品として紹介されています。

守るべきものとは

 海はみんなの宝物。日本の食文化を支える海をこれ以上汚してはいけません。コープ自然派は2023年8月4日、全国漁業協同組合連合会会長声明を受け、政府と東京電力に福島第一原子力発電所ALPS処理汚染水海洋放出の撤回と、海洋放出計画中止を求めました。地域の生業と、代々受け継がれてきた様々な文化から目を背け、海洋放出を始めたという意味を私たちは考える必要があるのではないでしょうか。

できたよ‼貝やシーグラスでアクセサリー作りを楽しみました。
終わってからも海の現状を真剣に質問する参加者

Table Vol.495(2023年11月)

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