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生産者訪問・商品学習会

日本でのオーガニック食品拡大に向けて

2023年7月28日、コープ自然派生産者クラブ主催の学習会が開催されました。今回の学習会には約140の生産者が参加。摂南大学の谷口葉子さんに、日本でのオーガニック食品拡大に向けて現状と提言を聞きました。

学習会講師を務めた摂南大学の谷口葉子さんは、コープ自然派おおさかの組合員でもあります。

世界と日本のオーガニックの現状

 世界の有機農業面積や有機食品市場は、この20年で6倍以上に成長しました。有機農業面積は農地の1.6%を占め、国別では世界1位のリヒテンシュタイン40.2%を筆頭に上位20か国で10%を超えています。また、有機食品が食品市場に占める割合では、デンマーク13%、オーストラリア、ルクセンブルク、スイスが10%超、スウェーデン、ドイツ、フランス、アメリカといった主要マーケットでも5%を超えています。では日本はというと、有機農業面積0.3%、有機食品市場0.4%と低迷。アンケート調査では半数以上が「購入したい」と回答しても、それが実際の購買行動につながっていないなど盛り上がりに欠ける状況にあります。

日本でオーガニックを広げていくために

 有機食品の価格は慣行品と比べて、平均すると20%以上高くなります。その分おいしくて、栄養価が高く、環境にも良いというイメージがありますが、本当にそうなのでしょうか?実は研究によって、オーガニックのほうが優位であるという研究結果もあれば、有意差はないという研究結果もあり、科学的にはまだはっきりしていないのだそうです。ひとまとめに「有機農産物」といっても、その栽培方法によって結果は違ってくるでしょう。オーガニックのほうが優位であるという科学的エビデンスを追求することが、まず必要なことのひとつと言えます。

 また有機農業の環境保全効果は、生物多様性の改善、地力の向上、温室効果ガス排出の低減などが考えられますが、環境は「公共財」です。つまり一部の消費者が「環境を守りたい」という思いで支払った価格プレミアによって環境が保全された結果、価格プレミアを支払っていない人もその恩恵を享受することになります。一部の人に負担が偏っているフリーライディング(=ただ乗り問題)の現状から、価格プレミアを下げ、負担を広く公平な形に改善していくことも必要なことと言えます。

 消費者にとっては、自分自身にメリットがあるからオーガニックを選ぶという選択(利己)が、結果的に環境保全や動物福祉などの社会変革(利他)になれば、いちばん無理なく買い続けることにつながるでしょう。そのために売る側には、オーガニックのほうが優位であるという科学的エビデンスを追求すること、市場データや生産データなど市場発展の基礎となるデータを充実させること、そして有機食品の価値を伝えられるマーケティングを訴求することが求められています。

コープ自然派生産者クラブ会長は、光食品の島田社長。光食品はペットボトルではなくびんを使うことにこだわってきましたが、びんが手に入らなくなってきている現状を訴えました。

生産者と生協の貴重な交流の場

 コープ自然派生産者クラブの集まりは、生産者と生協の貴重な交流の場でもあります。学習会の後は、コープ自然派の事業や活動の報告、5月に設立された一般社団法人日本有機加工食品コンソーシアムの紹介などがありました。日本のオーガニック市場を広げていくためには、オーガニックを食べる人を増やすこと、そして「転換期間中有機農産物」を買い支えるなどでオーガニックをつくる人を増やすこと、この両輪が必要です。生産者と生協が腹を割って話し合い力を合わせていくコープ自然派生産者クラブの存在がますます重要になっています。

汚染水海洋放出反対のプラカードを掲げての写真撮影に応じてくれた生産者のみなさん。みんなで海を守りましょう。

Table Vol.494(2023年10月)

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