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連載

わくわくキッチン「炊飯器の憂鬱」うのまきこ

イラスト/友野可奈子

 「オーマイゴォォォッ!!」起きぬけにキッチンで叫びました。ウソウソ、「なんじゃこりゃぁあ」ってね。タイマーでお粥を炊いているはずの炊飯器の蒸気孔から、白いネバネバがすごい勢いで飛び出し、炊飯器周辺は重湯の海。慌てて蒸気孔のまわりに濡れ布巾で土手を作りましたが大した役にはたちません。約15分後に出来上がったのは少し柔らかめのごはん&乳白色ベタベタデコレーションされたダークグレイの新品炊飯器&たっぷりネッチョリの水たまり。何でまたこんな悲惨なことに…。

 さかのぼること15時間前。うちの炊飯器の内釜の塗装がボロボロだったので、家電量販店で新調しました。実はこの愛用器、ダンナが10年前単身赴任をした時に間に合わせで買った小さくて簡素なもの。でも使ってみると軽いし場所をとらないし、初老夫婦の少量炊飯にもピッタリ。朝食には0.5合のお粥、夕食には1合のごはんを都度都度炊けば、お高い炊飯器でなくてもとっても美味しいから、大きくて重いIH炊飯器は試作やおもてなしの時以外は出番なくお蔵入り。なので同じようなサイズのお手頃なマイコン炊飯器を適当にパパっと選んで買ったのです。夕飯で早速使用、美味しい炊き上がりに満足。寝る前いつものようにお粥を仕込もうとしたら…なんとお粥モードがない!商品を選ぶ時、どんな機種でもお粥設定があると思い込んで確認しなかったのが1つ目の失敗。2つ目のミスは設定がなくても、少量の米に多めの水を加えておけばお粥になるやろとの安直な考え。そう、結局は私の大雑把な性格が朝の惨劇を招いたのであります。詳しいことはわかりませんが、どうやら今回のマシーンは少々賢いらしく、温度調節をしたり、不要な水分を飛ばしてベストな炊き上がりを目指すみたい。1/3目盛り以上の余分な水分はふきこぼれの原因になりますと明示してありました、トホホ。

 てなわけで、我が家の朝粥習慣は未だ最適解を模索中。そんな折も折、テレビ番組で「めちゃめちゃ美味しく炊ける革命的技術の高級IH炊飯器」の開発秘話をたまたま観ちゃいました。人生80年として、あと何回炊き立てごはんを食べられるのかを真剣に計算し、そんな画期的においしいごはんが炊けるのなら買い替えをすべきか否か激しく苦悩。まずはくだんのメーカーが経営する飲食店に、自慢の炊飯器で炊いたおかわり自由なごはんが売りのランチを食べに行かねばと思う秋の夜長でありました。今なら新米、超絶美味しいはずだから増々悩むことになりそうだけどね…。

うのまきこ| UNO Makiko
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。

Table Vol.495(2023年11月)

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