夏場大活躍してくれた我が家のぬか床が行方不明と気づいたのはお雛祭りも過ぎた頃でした。記憶を辿ると…予定していたリフォームに備えて、11月半ばにキッチンやリビングの中のものを大移動。毎年晩秋には片付けるぬか床をどうするか迷うも、大きな新生姜が5~6個と人参1本が漬かっているからいったん封印することにして、袋で厳重に包みベランダに置く。寒いし1ヵ月ぐらいなら大丈夫やろと表面に塩を敷き詰めたりもせずワイルドな放置。工事中はベランダや庭で職人さんが作業したり道具を置いたりしていたので、その都度使いやすいように場当たり的に物を移動。工事完了後もベランダの荷物の復元までは手が回らず、冬場ぬか漬けを食べる習慣がないため可愛そうなぬか床の紛失に気づかず春を迎え…。捜索しました!ベランダを大片付け大掃除。ソコソコ大きな琺瑯容器、スーパーのポリ袋に包み込んでいるとはいえ見失うはずないのに、間違えて捨てちゃったのかな?!

 探すことをやめた時見つかることもよくある話で♪(この歌知ってる?)GW明けに出てきたの、なぜかイナバの物置の奥から。ま、ダンナが適当に突っ込んだに違いないんだけど、袋の表面に老眼に優しいデッカイ字で「ぬか床」と書かなかった私も悪い。容疑者を責めず(オトナ~!)、まずは勇気を出して息を止めてオープン。あれれ?パッと見黒っぽいけど悪臭なし。恐る恐る表面1センチほど取り除くとビジュアルも香りもいたって正常。発掘すると記憶通り新生姜と人参出現。洗ってみたら普通に食べられそう。

 ここで実験したくなるのが私。だけど半年近く放置して表面が謎の黒に変色した床から出てきたモノを生で食べるのはさすがに野蛮なので加熱して試す作戦開始。厚揚げやコンニャク&根菜の煮物に、入れるつもりだった生姜が切れていたので古漬け生姜の薄切り投入。すると何ということでしょう!あっさり系の煮物に深い旨みが加わり超おいしくなっちゃったよ!人参は千切りにして野菜炒めに。これまた塩コショウだけで味つけしたとは思えん奥行きのある味わい。残りの生姜も万能お助け旨味素材として活用完食。若干シナシナではありますが、おろし金でおろすこともできるのです。

 ぬか床強い子不思議な子。保存性抜群で深い旨みを加えてくれる魔法の器。漬物を生でパリパリも最高だけど、すぐにズルっとなっちゃう生姜やミョウガは全部ぬか漬けしておくのもありじゃない?半年もの発掘系でなければおろし生姜も安心して生でいける、使い残りはまた埋めればOK。今さらながら保存装置としてのぬか床のポテンシャルに感動したのでありました。

プロフィール
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。

Table Vol.469(2022年8月)より
一部修正・加筆

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