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くらしと社会

予防医学講師による免疫学講座

牧香奈子さん(コープ自然派奈良組合員)は「0歳からの予防医学と食育」をテーマに全国で活動する予防医学講師です。牧さんによる「免疫学を1日でマスターできる」Zoomオンライン講座の一部を紹介します(2020年4月16日現在の内容です)。

「0歳からの予防医学と食育makana®」代表・予防医学講師・看護師・牧香奈子さん(コープ自然派奈良組合員)。「免疫学を1日でマスターできる」Zoomオンライン講座は免疫の理論と対策から症状 別ケアまで学べ、豊富な資料と丁寧な質疑応答による充実した内容です。

免疫システムの活性化

 看護師歴23年の牧さんは、生活習慣病の原因は幼少期からの食習慣にもあると考え、離乳食から始める「予防医学の食」の大切さを伝えています。食育、離乳食、薬膳、リンパ、毛髪ミネラル検査など予防医学に関する資格を多数取得し、東洋医学・西洋医学・自然療法などの視点から総合的にアプローチする講座は子育て世代を中心に人気を得ています。

 体内に病原菌や毒素、異物が侵入しても抵抗し打ち勝つ能力のことを免疫と言います。細菌やウイルスが侵入すると免疫細胞が稼働して退治、私たちの身体はこれらの「自然免疫」の働きによって健康状態を維持しています。新型コロナウイルス感染症もこういった自然免疫の働きがある程度重症化を防ぎ、症状が抑えられているのではないかと考えられています。

 「三密」と称されるウイルスが多い環境の中にいたり、体の自然免疫が弱っていると、症状は次の段階へと進みます。ウイルスの攻撃や特徴の報告を受けたT細胞が攻撃命令を発動。免疫細胞は目標を定めて猛攻撃し、B細胞はとどめをさします。このB細胞がつくったものは「獲得免疫」として抗体となり、私たちの体に記憶されるということです。

 WHO(世界保健機構)は新型コロナウイルス感染症の抗体が再感染を防ぐために十分な免疫をもつかどうかは現時点でわからないと発表(2020年4月24日現在)。不明な点が多い感染症であることから、「現時点で私たちにできることは、自然免疫など免疫システムが正常に働くからだづくり」だと牧さんは話します。

2経路の免疫系をケア

 免疫には全身免疫系(血流・リンパ系)と粘膜免疫系(鼻腔・咽頭・腸粘膜など)の2種類があると考えられています。全身免疫系は血液に最も多い抗体IgGを産生。白血球は血液中にある細胞成分(白血球・赤血球・血小板)の1つで、骨髄(骨の中心部にある)でつくられ、血液とリンパ液に乗って体中を巡り免疫システムを働かせます。

 このとき、東洋医学でいう「気・血・水(津液[しんえき])」の巡りの良い体にすることも大切で、代謝・体温を上げて、リンパマッサージや手技両方(鍼灸)も有効。元気の「氣」は不足すると疲れやすく気分が落ち込みやす
く、氣を補う食材は芋類や米、雑穀類など。「血」は不足すると貧血になりやすく、滞ると肩こりや月経痛、アレルギー症状などを引き起こします。造血作用のある食材としてヘム鉄が豊富な赤身の肉(レバーや牛赤身など)や魚(マグロやカツオなど)、非ヘム鉄はほうれん草や小松菜、プルーンなどがおすすめです。

 粘膜免疫系は鼻・口・のど・腸管などの上皮細胞に存在し、主な免疫抗体はIgA。粘膜バリアで外敵から防御するため、粘膜面が乾燥しないような食事や日常生活のケア、腸管免疫の活性を促す食材もポイントです。

 「現在、新型コロナウイルス重症化の原因は未解明ではありますが、感染予防、感染初期の免疫システムが正常に働くような食事・運動・睡眠という当たり前の生活習慣が何より重要です。気軽に受診できた日本の医療が大きく変わり、日本人は自分で自分の体を整える術、”自助の力“が求められているのではないでしょうか。万人受けする健康食品はありません。食養で体を整え、自覚症状や個人の体質に合わせて食材を選ぶ力が求められています」と牧さん。免疫の仕組みや働きを理解した上で、そのシステムを十分に発揮できる体づくりの大切さを牧さんは伝えています。

Table Vol.416(2020年5月)

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