2018年11月14日(水)、コープ自然派兵庫(なでしこ原っぱ東チーム主催)は、福島原発事故により福島県浪江町から兵庫県三木市に避難・移住している菅野みずえさんのお話を聴き、アウトドア活動実践者の清水玉青さんに非常時の備えについて学びました。
原発事故から現在まで
2011年3月11日、東日本大震災が発生、12日と14日にズドーンという音が聞こえましたが、福島第一原発の爆発音だとは浪江町の人たちには知らされませんでした。その後、菅野さんは避難所から仮設住宅へ。避難所では心労と偏った食生活で持病を悪化させた人や家族関係が壊れたケースも多く、性被害も起きていました。菅野さんは阪神淡路大震災では神戸の仮設住宅でボランティア活動を体験しましたが、まさか自分が仮設住宅で過ごすとは思っていなかったと話します。
2017年3月31日、浪江町は一部の帰還困難区域を除いて避難解除されましたが、豊かな田園地帯だったことが信じられないような荒野が広がっています。また、福島県内では自殺者が増加し続け、避難・移住した人たちは復興のじゃまをするなどと言われ、妻子を避難させていることを会社で隠している男性もいるということです。
2017年4月14日、東日本復興委員会で山本太郎・参議院議員は、2011年から2015年に少なくとも福島県民1,082人の甲状腺がん手術が行われたことを指摘、福島県民健康調査では恣意的にカウントしない甲状腺がんの数があることを強く批判しました。菅野さん自身も2016年に甲状腺がんの手術を受けています。
原発事故の被害は関東以北全域に及び、2015年から千葉県の子どもたちに甲状腺がんおよびその疑いのある子が多数見つかっています。そして、2018年11月、福島第一原発の排気筒にひび割れが見つかり、解体作業に向けた実証実験が公開されました。解体作業が行われるのは2月末から3月の予定です。
原発反対の意思表示を
菅野さんは「避難計画を案ずる関西連絡会」に参加し、福井各原発から30㎞圏内の市町村職員に自身の体験や事故が起きれば市町村職員がいかに疲弊するかを伝えています。現在、大飯原発、高浜原発、伊方原発が再稼働し、これらの原発が事故を起こせば放射能の大半は陸へと流れる可能性が大きく、避難計画はあまりにも不十分です。避難・移住しても仕事や人間関係などなじみあるものをすべて失ってしまいます。「避難・移住の暮らしはいつも淋しさを抱えています。私のような体験をしないよう原発反対の意思を伝えてください。使用済み核燃料の保管先もないのに核のゴミを増やしてはいけません。今できることは原発をなくすことです」と菅野さんは話しました。
備えあれば憂いなし
この日、用意されたブランチは、自然派Styleフランス・オ・レ、国産ライ麦カンパーニュ、ノワ・レーズン、よつ葉ゴーダチーズ、よつ葉チェダーチーズ、お魚ソーセージ、天水みかん、有機自然派バナナ。これらが「商品案内」を利用してつくった紙容器に盛り付けられ、ランカスターセイロンティー・麦茶とともにいただきました。
アウトドアライフを楽しんでいる清水玉青さんには、ポリ袋(高密度ポリエチレン)を使ったパッククッキングやホットケーキミックスを使った蒸しパンのつくり方を教えてもらいました。清水さんはいつもカバンの中に緊急時ホイッスル、ヘッドライト、十徳ナイフ、マスク&ティッシュ、緊急ばんそうこう、手ぬぐい、ポリ袋、エマージェントシートを入れています。そして、ランタン、ソーラー発電、ヘッドライト、カセットコンロなどを各家庭で用意し、使い慣れておくことをすすめます。また、水はやかんや水筒に溜めておく、カセットコンロのガスボンベは買い置く、保冷材の代わりにペットボトルにお茶を入れて凍らせておく、非常用持ち出し袋を準備するなど、使いながら溜めることも必要だということです。参加者からは「災害がいつ起きるかわらないことを先日の台風と地震で実感しました」「ポリ袋クッキングでおいしく調理できることに驚きました」「原発をなくすことが最大の防災ですね」などの感想が得られました。
Table Vol.383(2019年1月)