2020年3月4日(水)、NPO自然派食育・きちんときほんは、「自然派Styleごまドレッシング」や鍋スープシリーズでおなじみの冨貴食研(茨木工場)を訪ね、工場長をはじめ、それぞれの部門の担当者からお話をうかがいました。
食物本来の力を活かす
冨貴食研は1969年、ソースと外食産業向け液体調味料を製造する(株)ヨツバソースとして高槻市で創業、その後、食の大切さに気づいた当時の経営者が方針を転換、添加物に頼らず食物が本来持っている力を最大限に発揮できるような商品を提供したいと1999年に(株)冨貴食研を設立しました。2016年に茨木工場を新設、2018年にはSQFを取得。SQFとは食品の安全と品質を確保するための国際的な製造過程・製造認証基準です。コープ自然派とは、自然派Style胡麻ドレッシングの開発をきっかけに、2009年からお付き合いがスタートしました。
一行は、鍋島工場長の案内で自然派Style胡麻ドレッシングの製造工程を見学します。玉ねぎピューレ、りんご酢、砂糖、食塩、菜種油、胡麻、卵黄、醤油、もち米粉、香辛料などの原材料を専用機でブレンド、これを中2Fに設置された乳化機にパイプで送り攪拌します。そして、理化学検査室で検査した後に充填、金属探知機で安全検査をしてラベルを貼ります。乳化の状態などは品質管理室で丁寧に検査します。
開発・製造・品質保証
現在、冨貴食研の商品アイテムは215点、コープ自然派には自然派Styleシリーズなどオリジナル商品のみ10アイテムが届けられています。商品については、研究開発・北原室長と中井係長に聞きました。北原室長は創業当初からの社員で勤続40 年、北原室長の味覚と商品開発力は「神業」とも称されています。「幼いころから食に関心がありました。おばあちゃんの味で育ったので、添加物を使用しない伝統的な味が基本です」と北原室長。「自然派Style胡麻ドレッシング」は、金ごま100%使用、乳化剤や増粘剤、酵母エキスを使わず、酵母エキスの代わりに生のすりおろし玉ねぎを使用してコクと旨味を出しています。どんな野菜とも相性が良く、おいしくいただけます。
「自然派Style焼肉のたれ」は、「自然派Style特選丸大豆醤油 豊穣の恵」をベースにりんごピューレ、チャツネなどのフルーツの甘みを合わせ、自家製の焦がした砂糖醤油がお肉の味をおいしくします。「甘辛生姜だれ」は、「自然派Style特選丸大豆醤油 豊穣の恵」をベースに国産の生姜を贅沢に使用。生姜焼きはもちろん、これ1本で炊き込みごはんや汁ものの味付けができます。
「自然派Styleタルタルソース」は、国産の西洋キュウリを純米酢に漬け込んだピクルス、それに自家製玉ねぎピクルスをたっぷり使用しています。添加物を使わないことで原材料が多くなり、工程が複雑になりますが、「手間をかけることで、みなさまに喜んでいただけるものをつくれることがうれしいです」と鍋島工場長。一行は商品開発力と製造技術、品質保証が一体となって優れた商品がつくられていることを実感しました。
多彩な鍋シリーズも開発
この冬にも大活躍だった「鍋スープ」シリーズは中井係長を中心に開発。「添加物を使っていないのに、どうしてあんな味が出せるの?」との疑問に中井係長に応えていただきました。
「自然派Style塩ちゃんこ鍋スープ」は、国産鶏のブイヨンをベースに沖縄産海塩で味付けし、手づくりのだし汁とネギ油でコクと香ばしさをプラスしています。「自然派Styleごま味噌スープ」は、「自然派Style蔵出し糀味噌」に練りごまとすりごまをたっぷり使用して濃厚な味わいに。「自然派Style塩カレー鍋スープ」は、自家製の野菜ソテーピューレに、朝一番にとった鰹だしを合わせた和風のカレー鍋スープ。辛味の少ないカレー粉を使用しているので子どもたちもおいしく食べられます。「自然派Styleトマト鍋スープ」は、玉ねぎスープとトマトをたっぷり使用、オリジナルブレンドのハーブで旨味を引き立てています。「自然派Style醤油ラーメン鍋スープ」は、「自然派Style特選丸大豆醤油 豊穣の恵」と国産丸大豆淡口しょう油をバランスよく合わせ、鶏がらと魚介の旨味を合わせた旨味の強いスープです。
そして、「自然派Styleちゃんぽん鍋スープ」は、豚骨を煮出した濃厚なスープにホタテ、イワシ、煮干し、シイタケなど数種類の素材の旨味を合わせたスープですが、当初はなかなか思うような味が出せず、「ちゃんぽん」を食べ歩いたり、「ちゃんぽん」の原点に立ち返るなど、研究と試作を重ねてようやく納得できる味に仕上がったということです。
当日は、ラジオ関西「もりʼsキッチン」の収録も行われ、ラジオ関西スタッフとともに見学、さまざまな角度からの質問が飛び交い、一行はおいしさの秘密を改めて確認しました。
Table Vol.414(2020年4月)