Table(タブル)はコープ自然派の情報メディアです。

くらしと社会

電磁波と子どもへの影響

2021年12月3日(金)、コープ自然派兵庫(ビジョンくらし主催)は環境ジャーナリスト・加藤やすこさんを講師に電磁波学習会を開催しました。

※イメージ

無線周波数電磁波の影響

 電磁波とは電場と磁場をつくりながら交互に進んでいく波のことです。周波数(Hz)は1秒間に振動する回数、波長は1回に振動した時の波の長さで、周波数が上がるほど波長は短くなり、エネルギーは強くなります。

 電磁波には超低周波(3Hz~3kHz:電球や家電など)と無線周波数電磁波(30MHz~300GHz:基地局、スマートフォン、ブルートゥース、Wi‐Fi、赤外線、紫外線など)があり、これらは非電離放射線と呼ばれるグループ。エネルギーが強い電離放射線というグループにはエックス線やガンマ線があります。非電離放射線は国際がん研究機関に「グループ2B:発がん性の可能性があるかもしれない」に分類され、動物実験の結果から「グループ1:発がん性がある」に格上げすべきとの議論もあるということです。

 無線周波数電磁波の規制は国によって異なり、ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)は携帯電話基地局から発生する電磁波を規制するための指針値を周波数1800MHzに対して900μW/㎠(単位面積1㎠を通過する電力密度)を上限としています。これは携帯電話で使われている帯域で、日本(総務省)とアメリカは1000μW/㎠、ギリシャは540μW/㎠、カナダは439μW/㎠、インドは90μW/㎠、ロシア・イタリアは10μW/㎠、パリは6.6μW/㎠を上限とし、欧州評議会は0.1μW/㎠を勧告。最近の研究では弱い電磁波への慢性的な被曝によってDNAの損傷、酸化ストレス、神経系・内分泌系の異常、先天異常、流産などが起きる非熱効果が重要視されています。

吸収しやすい子どもの脳

 従来の移動通信システム4G(3.6GHz)は、1つの基地局が広いエリア(市街地で半径約500m)をカバーしています。5Gは3.7GHz/4.5GHzの超高速通信で、ミリ波(28GHz)を導入、周波数が高く、波長が短いのが特徴です。電波が届く範囲が狭いため4Gより近距離で被爆することになり、ミリ波は主に軍用されていたもので、民間利用での健康・環境への影響は不明です。オランダ保険審議会はミリ波を禁止し、EUでは欧州議会科学技術評価委員会が「5Gの健康影響」報告書を発表してマイクロ波(短い波長域の電波)を「おそらく発がん性がある」に評価しました。マイクロ波は細胞内と周囲のイオンを振動させてイオンチャネル(細胞膜に存在するタンパク質)のセンサーに電気刺激を起こします。イオンチャネルは細胞の内部と外部でイオン濃度を一定に調節しているため、カルシウムイオンがマイクロ波に被曝すると、カルシウムイオンチャネルが活性化され細胞内に過剰に流入。酸化ストレスやDNA損傷、突然変異の増加、生殖能力の低下、精子DNAの損傷、自然流産の増加など人体への影響は計り知れません。

 子どもの脳神経細胞は成長が活発で、頭蓋骨は薄くて小さく、免疫系の発達も不十分。電磁波による影響が大きく、10歳で大人より53%多く電磁波を吸収し、頭蓋骨ずいへの吸収は大人の10倍になるということです。

GIGAスクール構想

 2019年、文部科学省は児童生徒1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを整備するGIGAスクール構想を開始しました。ハーバード大学では、妊娠中の女性が電磁波に被曝すると生理学的な機能不全が発生し、胎児び発達に関わる障害のリスクが増えること、電磁波被曝が自閉症スペクトラム障害に影響を与えている可能性について指摘。記憶や学習、注意、行動について神経学的な問題がある子どもには、有線環境を提供することを推奨しました。ドイツでは医師会による子どものデジタルメディア使用に対する警告デモが行われ、学校で無線LANを使用するならスイッチを切れるようにすべきと州政府にアピール。アメリカ・メリーランド州では新教室に有線LANを設置し、無線LANは使わない時にスイッチを切るよう求めています。ロシアはコロナ禍での自宅学習ガイドラインを策定し、基本的に教科書やノートを使った学習を推奨、パソコン使用時は有線LAN、スマートフォンは禁止、6歳未満はパソコンの使用を禁止するなど発表、利用時間と休憩時間についても子どもの年齢ごとに定めています。イスラエルは学校の無線LANに対する集団訴訟が起こり、政府は教室でのインターネット利用時間やパソコンの授業時間について指針を検討しています。

 Wi-Fiを設置した場合、無線LANアクセスポイントから電波が発生するため、アクセスポイントを介するPoEスイッチを各教室に設置するか、手元スイッチを設置して簡単に電源をオンオフできるようにすることで電磁波対策ができます。

 「政府はインクルーシブ教育の実現を目指し、障害者差別解消法を制定しています。障がいの有無に関わらず共に生きる共生社会をつくるためには、電磁波過敏症・化学物質過敏症の生徒も共に学べる安全な環境にしなければなりません。そのような配慮は過敏症の生徒たちのためだけではなくすべての子どもたちを守ることにもつながるはずです」と加藤さんは話します。

環境過敏症の患者会「いのち環境ネットワーク」代表、環境ジャーナリスト・加藤やすこさん。

スマートシティのリスク

 スマートシティは水道・ガス・電気、公共交通機関での移動、監視カメラ、医療情報、金融機関情報などのすべてを紐付けて都市OSで管理する新たなサービスです。都市OSは都市間でデータを連携利用できるため、IoT機器がハッキングされると他の都市にも感染するリスクがあります。従来のシステムでは防災・防犯・交通など各分野のデータが独立したサイロ型システムでした。一方、都市OSは分野間を横断してつながるデータ連携型になり、あらゆる物にIoT機器を設置して収集された情報がビッグデータとして活用されます。IoT機器は小型で無線通信を利用するため、セキュリティが脆弱で電磁波の増加につながる危険性があるということです。

 アメリカ企業が世界25カ国以上でスマートシティのシステム提供・運営を行っています。日本でも海外企業の参入で情報が抜き取られる危険性、個人情報を一元管理する事業者が撤退する可能性があり、安全保障面からもリスクがあるということです。

 電磁波対策には、銀やアルミなど金属でコーティングされたカーテン(シールドクロス)やアルミの防虫網戸、炭素を混入している電磁波シールドペンキなどがあります。光ファイバー回線は信頼性が高く、電力消費を抑え、健康・環境への影響が少量です。タブレット・パソコンに「USBタイプC」を接続することで有線回線の利用が可能になります。

 「無線周波数電磁波から人々を守るために、規制を厳しくし、5G導入を拒否する国や自治体が増えています。総務省の電波防護指針は国際的にも基準がゆるく最新の研究結果を反映していません。5Gや次世代6Gによって被曝量はますます増え、人間だけでなく生態系全体に深刻な影響を与える可能性が指摘されています。GIGAスクールで電磁波にさらされる子どもと教職員(特に妊婦)への配慮が急務です」と加藤さんは訴えました。

Table Vol.459(2022年3月)より
一部修正

アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

アーカイブ

関連記事

PAGE TOP