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生産者訪問・商品学習会

よつ葉牛乳のふるさとを訪ねて~北海道の畜産生産者訪問①~

2023年8月28日、コープ自然派理事長・専務理事合同研修として北海道の畜産生産者を訪ねました。いま畜産農家はウクライナ侵攻や急激な円安による飼料価格の高騰に苦しんでいます。牛乳の消費が伸び悩むなかでの乳価改定など厳しい状況が続くよつ葉乳業を応援しようと、放牧酪農牛乳の指定生産者である石黒牧場と、よつ葉乳業の十勝主管工場を訪ねました。オンラインTableでは、2回に分けてその内容をお伝えします。

石黒牧場の石黒和彦さんご夫婦2人だけで切り盛りしています。

朝起きたら、窓の外に牛がいる毎日

 「春先にエサが青草に変わったタイミングで、牛乳の味や香り、色が変わります。あ、変わったなと思ったら、放牧がはじまったんだなぁと思ってもらえたら」

 石黒さんの自宅に併設されている放牧地では、50頭ほどの牛が自由に過ごしていました。石黒牧場は40haの牧場を有し、半分は牛を放牧する放牧地、もう半分は牧草を育てる採草地として使っています。牛は、夏は放牧地で青草を食べ、牧草が育たない冬は刈って保存しておいた牧草を食べます。石黒牧場では冬用の牧草も自前で育てているため広い面積が必要です。

 もともとは放牧ではない一般的な酪農をしていましたが、放牧酪農と出会い、1996年頃から放牧を始めました。放牧をすると広い面積が必要な上、乳量が減りますが、少ない人数でもやれる、配合飼料を減らせる、大きな設備投資が少ないので外的な影響を減らせるといったメリットがあります。なにより、牛に無理をさせない飼い方です。やってみてよかったと石黒さんは振り返ります。

 今年の夏はこれまで経験したことのないような暑さで、牛たちの夏バテや、エサとなる牧草の生育不足など心配が尽きません。飼料や肥料は2倍近くに高騰し、経営が厳しい状況が続きます。でも石黒さんには夢があります。「秋になっても牛たちを放牧草でお腹いっぱいにさせたいというのが夢です。そのためには放牧地の面積が足りないので増やしたい。あとは体が続く限りできれば」と大変なことも楽しんで挑戦する石黒さん。どこまでも牛のことを考えています。

牧場で石黒さんを囲んで話している間に、牛たちが近づいてきて、通り過ぎていきました。人のことを恐れるどころか、全く意識していないみたい!草を食む音が大きく聞こえるほど静かでした。

酪農家と二人三脚で歩む

 よつ葉乳業は「酪農家が自分たちの手で、より良い牛乳と乳製品を消費者に届けたい」という悲願から1967年に酪農家資本の農協により設立された乳業会社です。1970年代半ば、安心な牛乳を求めて立ち上がった主婦たちの願いに応えたのがよつ葉乳業でした。コープ自然派の前身である共同購入会との産直が始まり、その後も1983年「低温殺菌」、1992年「ノンホモジナイズ(牛乳の脂肪球を砕いていない牛乳)」、1999年「NON-GMO(分別管理)のえさ」、2009年「国産自給飼料」の取り扱いを実現してきました。そしてたどりついたのが2014年アニマルウェルフェアを追及した「放牧酪農牛乳」です。石黒さんは放牧酪農指定生産者5名のうちのひとりです。

よつ葉牛乳がおいしいワケ

 よつ葉の牛乳がおいしい理由は、牧場と製造工場の距離が近く、新鮮な生乳でつくっていること、そして、厳しい品質管理基準にあります。獣医を含む酪農部のメンバーは頻繁に酪農家を回り、牛の様子を直接みて、より品質の高い牛乳をしぼれるよう指導しています。そして工場に運び込まれた牛乳は、飲用に適しているのか、バターやチーズに適しているのか適切に振り分けられます。酪農家がつくる生乳の良さをどう活かせるかを追求し、酪農家を「支援する」のではなく、酪農家と「ともに歩む」ことで、高い品質と持続可能な生産体制を維持しているのです。

 牛は機械ではなく生き物です。毎日乳を出します。土日だから、市場に牛乳が余っているから、「今日は乳を出さないで」というわけにはいきません。牛乳が売れないことは、牛のいのちにダイレクトにつながります。40年以上、組合員と酪農家が想いをつないで飼料、飼い方、殺菌温度など一歩ずつより良い牛乳を求め続けてきたよつ葉の牛乳。大切に作られた牛乳を、ちゃんと選んで、大切に飲みませんか。②へ続く。

組合員から預かった畜産カンパを直接渡すコープ自然派京都理事長・筆口さん。忠類地区の生産者にも渡されます。

Table Vol.495(2023年11月)より
一部修正・加筆

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