日本画でも西洋画でも植物の細密な絵が好きなのですが、去年の春先、植物画のような、違うような「菌類画」の展覧会に初めて行きました。野生のキノコを描く日本で唯一(たぶん?)の菌類画家小林路子さんは、たまたま受けたキノコがテーマのエッセイ集の挿絵の仕事がきっかけでキノコの世界にのめり込んだ面白い画家。キノコがある所に出かけて行っては図鑑のように写実的なキノコ画を描く。でも彼女のキノコ愛は、描き終わってからも切って中を観察したり、場合によっては舐めてみたりと只者じゃあない。そもそもポップな可愛らしさや妖しい美に満ちた存在のキノコ、パワフルな好奇心と愛とユーモアを持つ人の手にかかれば、精緻で美しいだけでなく、生き生きとした楽しい世界が広がります。自身が書かれた絵の説明文も、それぞれのキノコの学術的な解説から、採取した時の小ネタ、食べた時の感想まであり、菌類ワールドにどっぷりの充実した時間でした。

 で、その時読んで印象的だったことの1つに「毒キノコというとカラフルなイメージがあるけど、地味な色でも猛毒のものがある」みたいなニュアンスの文章がありました。実はわが家の庭に、時々茶色い傘のキノコが生えるのです。ニョコニョコ美味しそうな雰囲気は「やなぎまつたけ」にソックリなのですが、さすがにね、チャレンジする勇気がまだ出ない。図鑑できちんと調べようかとも思うのですが、調べて安全っぽい気がしたら、本当に食べちゃいそうな自分がコワイ(笑)。

 子どもの頃は家庭料理でキノコと言えば乾し椎茸が主流で、お鍋の時にエノキや生椎茸を使うか、洋風メニューで缶詰のマッシュルームを入れるぐらいでしたが、今は食感も味も形も様々なキノコが年中手に入ります。コープ自然派でも「やなぎまつたけ」など珍しいキノコの案内がちょくちょくあるから、キノコ好きの私はとっても幸せ。お初にお目にかかるものは、とりあえずオリーブ油炒め塩コショウ少々で味見をします。そうそう、面白い名前に惹かれて買ってみた「森のホタテ」(しめじの根元)も塩・コショウ・ガーリックパウダーと米粉をまぶして卵液くぐらせ、バターで焼いてピカタにしたらとってもおいしゅうございました。そのままでもいいけど、しょうゆとこしょうを少々まぶして5分ほど置き、余分な水分を軽く絞ってからフライにしたら、益々ホタテな食感になりました。お試しを!

Table Vol.400(2019年9月)

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