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食と農と環境

ネオニコチノイド系農薬を排除して10年

 コープ自然派しこくは、総代会後の交流会で「ツルをよぶお米」の生産者、東とくしま農業協同組合・西田聖さんにネオニコチノイド(以下、ネオニコ)系農薬排除の取り組みについて話していただきました。

 西田さんが慣行農法から特別栽培の稲作に取り組み始めて約10年。特にネオニコ系農薬排除の取り組みは多くの生産者から注目され、ピーク時には生産者150名、農地面積198万㎡まで拡大しました(現在、高齢化や離農、農地の集約などで、120名、99万㎡まで減少しています)。

 ネオニコ系農薬を使用する第1の目的はカメムシの防除です。カメムシがモミを吸うことで米が茶色に変色し、斑点米になります。斑点米は1000~1300粒中に2粒混入するだけで1等から2等に等級が落ち、1袋で約500円も価格が下がるということです。

 4月、箱処理剤(ネオニコ系農薬)が田植え前の稲に施され、カメムシが発生する7月頃からその効力を発揮します。ネオニコ系農薬は稲の体内を浸透して移行しますが、農薬メーカーはモミに毒性は移行しないと説明。10年前まで西田さんは農薬メーカーの説明を信じ、JAで農薬を販売していました。しかし、「とくしま有機農業サポートセンター」校長・小祝政明さんが提唱するBLOF理論の聴講をきっかけに、ネオニコ系農薬排除の農法を実践するようになります。「BLOF理論に出会ってから、浸透移行性とは稲の体内のいたるところに毒性が行き渡ることだと理解し、ネオニコ系農薬を排除する方法を模索しました」と西田さん。そして、JAの営農指導を担当していた西田さんは、自身の水田を試験場にBLOF理論を忠実に実践、高品質・多収穫・低コストが実現することを証明しました。

 現在、西田さんが実践している特別栽培は、稲の食物繊維を強化し、カメムシが好きな匂いが稲から発散されないよう健全な稲を育てる農法です。その結果、昨年のカメムシによる等級下落率は1.8%に下がりました(ネオニコ系農薬を使用した場合の下落率は5%)。これらの農法を実践することで、ネオニコ系農薬不使用が水稲栽培で実現できると西田さんは確信しています。

Table Vol.397(2019年8月)

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