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わくわくキッチン「母娘の時間」うのまきこ

 新元号が発表された花冷えの4月1日、一人娘が社会人になった。初出勤の直前に、一人住まいを始める職場近くの部屋にバタバタと引っ越しして行き、今は何だか家の中がスッキリしたような寂しいような不思議な感覚。というのも、大学での実習が終了した去年の7月末から資格試験を受けた2月半ばまでの半年余り、メンドクサがりの彼女は、学校の自習室や図書館にも行かず自宅に引きこもって猛勉強。用がない限り家から一歩も出ない不精っぷりで、とても若い女子とは思えぬ毎日。そもそも私も自宅をベースに仕事をする身、出講してない日はほぼ家にいて、家事も仕事も自分1人のペースで自由にしていたところに娘が乱入してきた感じ。正直初めの1ヵ月くらいは少々戸惑った。子どもの頃から自分の学習机を使わず狭いリビングで勉強するクセがついてる彼女と、1日中顔突き合わせて暮らすのだ。こんな密着生活、保育園に入るまでの赤ちゃん時代以来ではないか!?さて、どうしよう?

 私1人なら昼食なんて超イイカゲン。残り物を適当に片付けておしまいだけど、楽しみ少ないヒキコモリ受験生?には、おいしいもんを用意してあげようと、家にいる日は昼もきちんと料理した。息抜きのティータイム用には、あれこれお菓子も手作りした。結果、一緒に食べる私だけが半年で3キロ太った。脳を使えば糖質を消費するというのは本当みたい。私以上に食べていた娘はなぜか痩せていったのだ。夕食準備は毎日一緒にキッチンに立った。野菜の切り方や、アジやイカのさばき方、すし飯の作り方などを基本のキから実践しながら、時間と手間の貯金料理や効率の良い手抜き法、ひと手間で仕上がりに大きな違いが出る「コスパのいい手間」などなどを伝授(笑)した。理系女子の理詰めの鋭い質問にタジタジすることも多々あり、私もすごく勉強になった。

 たまには気分転換もしなくっちゃと、近場で映画を観たりランチに出かけたり、季節の花を愛でながらお散歩したり。とりとめのない話で大笑いしたと思えば、つまらないことで言い合いしたり。大人になった娘と、巣立つ前のとても濃密で平和で幸せな半年間を過ごしたんだな~と今しみじみと思います。

 娘が5歳の時にコープ自然派奈良が立ち上がり、組合員になってかれこれ20年。きっと彼女の体の半分以上はコープ自然派の食べ物でできている。新居にも「これがないと生活でけへん!」と調味料から米、乾物、コーヒー、お茶などたくさんのコープ自然派の食品を自主的に持って行った。母はちょっと安心したよ。

 娘とそして4月から新生活を始めたすべての人の健康と素敵な未来を祈ります!

うのまきこ|UNO Makiko
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。

Table Vol.390(2019年4月)

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