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連載

わくわくキッチン「愛しのペットを慈しむ」うのまきこ

イラスト/友野可奈子

 去年の8月号でパン教室に通い始めた話(⇒バックナンバー)を書きましたが、根がオタク気質の私はその後ますますパン焼きたい症候群をこじらせまして。自分好みのパンを探求するうちに「材料は粉・塩・酵母・水、以上!」のような超シンプルなハード系こそが我が理想と(今のところ)思うようになりました。そこからはヒマさえあればSNSに投稿されたバゲットやカンパーニュをつくる国内外の動画を見まくり、ハード系パンの本も読みあさる毎日。ほんと自分でも持て余す「ハマルと止まらない病」が久しぶりに発症しちゃったのです、あーあ。

 知識インプット&イメトレができれば、いそいそと粉と水を混ぜて生地をつくり、育て(発酵させて)、焼き上げる。材料それぞれの配合量はもちろん、グルテンを形成するための方法(ざっくり言うと捏ね方)、発酵加減(温度や時間)、焼き方(これも温度・湿度・時間など)と結果を左右する要素はたくさんあるため、理想を目指し一つずつ変化を加えて検証していく作業はおもしろ過ぎて、やめられない止まらない。

 ある日ふと、私は製パンの何にこんなに惹かれているのかを冷静に考えました。「焼きたての香り」や「捏ねる楽しさ」「好みの材料で自由自在につくれる」とか思いつくことはたくさんあるけど、最大の萌えポイントは、なんの変哲もない材料にほんの少し手を加えると、ネチョネチョで無表情の塊が大小たくさんの気泡を抱え、フクフクと膨らんでいく様や、寒くて発酵が進まない日にはバスタオルでくるみ部屋の中で一番暖かい場所に置いてあげると俄然元気になる、生き物のような可愛らしさなのだ(ずっと実験しているのは最初から最後まで室温で発酵させる方法です)。気持ちよさげに発酵したパン生地は、まるでタプタプ太った猫のような触感で、長年猫たちと暮らし、最後の猫を看取ってから4年になる私にとって、ペットのお世話をして癒されるあの感覚を再び味わう時間がパンをつくる最大の楽しみなのかも知れません。今も目の前にはカゴに入ってのんびり寛ぐカンパーニュ生地、我が家では通称「ねこちゃん」がゆっくりゆっくり発酵中。いい状態になるのを目尻下げて見守りながらこの原稿を書いています、幸せ♪

 でも悩ましい問題があって…私は基本炊き立てごはん大好き党。需要(パンを食べる量)&供給(焼きたい量)バランスがとれません。だからスキをみては知人友人にプレゼント(押しつけ笑)する日々。うちのペットがご迷惑をおかけしていたらすみませーーーん。

うのまきこ| UNO Makiko
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。

Table Vol.501(2024年5月)

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