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くらしと社会

ジェンダーギャップ ~女性が動けば社会は変わる~

竹安栄子さんが特命副学長を務める京都女子大学リカレント教育課程はキャリアアップや再就職を希望する女性のニーズに応えています。

政治・経済・教育領域、そして、家庭などで女性と男性は平等でしょうか。世界の状況はどうなのでしょうか。
そんな問題を考えるために、コープ自然派兵庫(理事会主催)は、地域政治への女性の参画を長年研究してきた竹安栄子さん(京都女子大学特命副学長・地域連携研究センター長)の講演会を開催しました。

格差が大きい日本の現状

ジェンダーとは心理的・文化的・社会的性差。ジェンダーギャップ指数とは、各国の社会進出における男女格差を示す指数(GDI)で、世界経済フォーラム(WEF)は経済活動や政治活動への参画度、教育水準、出生率、健康寿命などから算出した指数を毎年公表しています。これによると、日本は、2015年は145ヵ国中106位、2017年は144ヵ国中114位と年々下がっています。平均寿命や教育水準、国民所得などを数値化したHDI(人間開発指数)は、2016年は188ヵ国中17位。読み書き能力、初等・中等教育、平均
寿命における男女格差は日本はゼロで世界1位ですが、経営者・管理職、大学教授、専門職、高等教育(学部間・大学院・博士号)での男女格差が大きく世界で100位以下、女性国会議員数は129位でこれらがジェンダーギャップ指数を下げています。2017年、世界経済フォーラムは、「日本は男女格差の解消に失敗している。教育や健康分野の進展にも関わらず、さらに順位を下げている」と指摘しています。

政治領域における格差

現状を具体的に見ていくと、政治領域において、衆議院の女性議員率は10.1%で、2017年は193ヵ国中157位、2018年は160位、アジア諸国ではでスリランカとタイに次いで下から3番目です。

兵庫県の女性議員の現状は(2016年12月)、首長の女性割合は3人(6.7%)、県議会議員は86人中10人(11.8%)、市区議会議員は703人中108人(15.4%)、町村議会議員は170人中19人(11.2%)。女性議員率25%以上は宝塚市9人(34.6 %)、川西市7人(26.9%)、芦屋市6人(28.6%)、三田市6人(27.3%)、小野市4人(25.0%)、神戸市は15人(21.7%)です。女性議員ゼロの市町村も7自治体ありますが、全国的に何といっても多いのが「女性おひとりさま議会」で、「女性も1人はほしい」という横並び感覚が見られます。

世界は地方議会でも女性議員率50%を目ざし、フランスでは2015年に県議会選挙で男女ペア選挙(男女2名が1組になって立候補)を実施。フランスは憲法を改正してジェンダー・クオータ制(政治領域における女性の割り当て制度)を導入しました。イギリスは政党の自主性に任せていますが、スコットランド議会は35%(2016年)、ウェールズ議会は42%(同)、この現状を変えるため、スコットランドは50/50キャンペーンを展開しています。ドイツの地方議会の女性議員率の平均は32.5%(同)です。日本はこのままだと女性議員率30%に達するにはあと70年かかることになります。

女性議員の増加が施策に及ぼす影響は明らかではありませんが、女性議員率の高い国は、相対的に社会福祉、教育、生活基盤の整備が充実し、男女の賃金格差が小さくなっています。また、女性議員率が高い国は合計特殊出生率が高く、男女とも働きながら子どもを産み育てることができる社会だと出生率が回復することを世界が証明しています。

さらに、女性経営者・管理者率の高い企業は、経営革新、生産性、収益率が高いと言われています。管理職に占める女性の割合が低いのは韓国や日本で、日本は国家公務員全体の3分の1は女性ですが、室長になると4.4%。司法の分野もまだまだ少ないのが現状です。

社会活力の視点から

1979年、第34回国連総会において、女性差別撤廃条約が採択され、1981年に発効、また、1985年のナイロビ将来戦略勧告では、1995年までに意思決定の場における女性
比率を30%にするという目標を立てました。女性の意思決定領域への参画は世界の潮流で、国連SDGs(持続可能な開発目標)17項目では2030年に男女格差の解消(50/50)を目ざしています。

労働人口比率を高め、女性のエンパワメントを高めれば生産性は上がります。また、女性が意思決定領域に入ることで多様性を生み出し、社会に活力が生まれます。一方で、女性の負担が大きくならないかという不安もありますが、介護も育児も社会化が必要、家事の合理化も必要です。そして、何より父親不在の子育てが問題で、男性も家事・子育てを共有することで夫婦間のコミュニケーションが図られます。

地域社会の実情は?

ボランティア活動では女性は男性より活発に行動していますが、代表者になる女性は2割強。教育分野では幼稚園教員は9割が女性ですが、園長は6割、小学校教員は6割が女性で校長は2割弱。中学校教員は4割が女性で校長は6.5%。高等学校・大学の女性教員率を国際比較するとフランスは高校50%、大学38%、日本は格段に低くなっています。

民生委員・児童委員に占める女性割合は6割、しかし、教育委員や教育長、社会教育委員に占める女性割合は27%と下がり、教育長は3%未満です。自治会長も5.8%。兵庫県では町内会長が20%超えているところは宝塚市(22.5%)、明石市(21.9%)、尼崎市(20.6%)などです。

農業分野ではもともと半数以上は女性でしたが、農業委員や農協役員は数パーセント、また、農協の正組合員に女性はなれないところもあります。その結果、女性は労働の成果が自身で得られず意思決定もできない状態で農業衰退の一因にもなっています。

女性議員が少ないのは?

女性議員が少ないのはそもそも立候補者が少なく、立候補を阻む3重の壁があります。その1つは性別役割分業意識。つまり、政治は男性の領域であると考えられ、女性自身も政治家への意欲が低いこと。次に家族・親族の壁。そして、地域社会の壁もあり、これらの壁を突破するのは至難の業です。

女性議員の存在が政策に影響を及ぼすのは、女性議員率が30%以上でなければ検証できないと言われていますが、多様な意思と熟慮、これが民主主義を保証する基本原則です。では、どうすれば女性議員は増えるでしょうか。もともと女性はリーダーとして期待されず、経験をもっていません。共学校では多くの場合、生徒会長は男子、副会長は女子というように女性はリーダーとしての経験が未熟です。そこで、社会をリードする女性の養成が必要だと、京都女子大学では女性地域リーダー養成プログラムに取り組んでいます。

世界120ヵ国以上がジェンダー・クオータ制を導入し、ジェンダー・クオータ制を導入しないで女性議員率が30%以上になった国はフィンランドとニュージーランドだけ、日本は議論さえできていない現状です。

女性議員を増やすには組織的活動が重要です。生協活動から派生した地方政党「市民ネットワーク」は現在、98人の地方女性議員を擁立。日本共産党の女性議員1004人、公明党901人、自民党187人と比べてこの数字は注目すべきで、生協でも女性議員の擁立をぜひ支援していただきたいと思います。

「知らないことが多くて、まさに目からウロコでした」と司会の正橋常任理事。

Table Vol.384(2019年1月)

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