2018年11月30日(金)、コープ自然派兵庫(なでしこ原っぱ西チーム主催)は、「未来をたがやす秋まつり」を開催、6回目の今回は会場を姫路市から加古川市に移し、新たな地で「種まき」しました。
3・11後を紙芝居で表現
「未来をたがやす秋まつりin加古川」は、福島原発事故後、福島市から淡路島へ避難・移住した煙山昭子さんのお話から始まりました。煙山さんは愛猫・ニャン吉くんを主人公にした紙芝居「島ぐらしのネコたち」を制作、3・11からの激動と苦悩の日々をニャン吉くんの視点でとらえ、絵と文で表現しました。ニャン吉くんは東日本大震災の大きな揺れにおびえ、その後、いきなり全身を拭われました。原発事故による外部被ばくを防ぐためだったのです。そして、これまでのように庭の草も食べられなくなり、混乱した日々を過ごした後、見慣れた風景や友だちのミーちゃんとも別れて淡路島へ避難しました。「福島はとてもいいところだけど、淡路島も福島も『島』が一緒だからだから、きっといいところだよね」と自分に言い聞かせるニャン吉くん。やがて淡路島の暮らしにも慣れ、「淡路島は食べものはおいしいし、空気はきれいだし、水も思い切り飲める」と新たに仲間になった2匹の猫たちとともに淡路島でゆったり暮らしました。
煙山さんは事故直後の3週間は、大阪で友人とアパート暮らしをしていた娘さんのところに家族3人で避難。その後、一度、福島に帰りますが、小学校は4月から始まっていて、「小学生でも頑張っているのに3週間も何してたの?」と非難されたことがとてもつらかったと話します。しかし、放射能の危険性が明らかになるにつれて避難する人たちも増え、煙山さんはそれまで取り組んでいた事業を引き払って淡路島へ移住することにしました。事故後8年、今、煙山さんは料理教室を開催するなど淡路島での暮らしを楽しんで
います。
自身の問題として考える
煙山さんへの質疑応答で、原発事故で汚染された土が全国にばらまかれようとしていることについてどう思うかという質問には「オリンピックを前に国は原発事故はなかったことにしようとしていますが、汚染土をばらまくことで安全なところもすべて汚染することになり、絶対やめてほしい」と煙山さん。そして、「一人ひとりが自分の身を守る努力をしてほしい」と話しました。その後、煙山さんのお話をグループごとにシェアし、「避難者の方のお話を聞くのは初めてですが、自分のこととして考えたい。いつ自分が当事者になるかわからないのだから」「原発を止める活動をしなければ根本的な解決にはならない」「事故から時間が経つにつれて原発は危険だという感覚がだんだん薄れていくので、このような場を設けてもらってよかった」「子どもを守るためにはいろいろ勉強しなければならない」などの感想が発表されました。
腸能力を高める講座
昼食は煙山さんおすすめの「大麦ごはん」となでしこ原っぱ西チームメンバー・後藤さん手づくりの漬けもの、大麦を入れて焼いたフォカッチャなどが用意されました。
そして、午後からは「台所の魔法使い」に変身した煙山さんの「免疫力UPの腸能力講座」。血液は食べものからつくられ、免疫機能を主に担うのは白血球。未熟な白血球に刺激を与えて熟成させるのが腸内細菌で、腸内細菌が豊かだと免疫細胞が活性化します。腸内細菌は人体に100〜120兆個もあり、腸内細菌のエサになるものの筆頭は食物繊維。大麦には不溶性と水溶性の食物繊維がバランスよく含まれ、そのうちパワーの主役となるのは水溶性の食物繊維「β-グルカン」だということです。麦ごはん、味噌汁、糠漬けなどは日本の伝統食で、麦を食べることで便秘が改善するほか、血糖値やコレステロール値が下がり、肌の調子が良くなるという結果も出ています。また、大麦は大腸がんのリスクを軽減し、アレルギーを改善するとも言われています。大麦粉は小麦粉の代用としてグルテンを控えたい人にも最適、てんぷらの衣に使えばさっくりとした食感が楽しめます。小麦粉と混ぜてお菓子やパンづくりにも使え、粉でも粒でもいろいろな形で大麦を毎日の食卓に登場させようと煙山さんは話しました。
Table Vol.384(2019年1月)