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くらしと社会

無農薬栽培の田んぼの周りには野草がいっぱい。野草に親しもう!

2025年5月25日、コープ自然派京都「里山の田んぼで遊ぼう」チームは、普段あまり目にとめることのない道端の野草を観察するイベントを開催しました。

野草の説明をする湯川さん

ベテラン野草講師とともに組合員手作りの田んぼへ

 里山の田んぼで遊ぼうチームは、毎年組合員が手掛ける田んぼで、風水害や獣害に負けずに無農薬栽培の米作りをしています。例年この田んぼの周りで野草の観察をしていますが、今年は田んぼまで続く小道も併せて楽しみました。
 講師の湯川幸子さんが野草に関心を持ち始めたのは、戦時中のこと。食べ物が不足し、食べられるものを中心に探していたことからでした。現在はライフワークとして食用以外の野草にも親しんでいます。
 まずは山道を登り、木々に囲まれた田んぼに向かいます。途中大きくしなった竹が山道を阻みます。今年は百年に一度しか咲かないという竹の花が咲き、竹自体の栄養が失われたことで枯れてしまい、倒れてきているそうです。前日の雨でぬかるんだ山道に足を取られないように歩くうちに、田んぼに到着しました。農薬を使わずに管理している田んぼの周りには野草が豊かに育っています。

食べられる野草

 田んぼに入る小道の傍らには、人に踏まれると生えてくるというオオバコが顔を覗かせています。オオバコは、煎じてお茶にして飲むと利尿作用があるそうです。また、茎がとても丈夫なので、2本の茎を絡ませ、それぞれを引っ張り合う「オオバコ相撲」として子どもの遊びにも使われています。馴染みのあるカラスノエンドウの新芽は天ぷらに、花はサラダで食べられます。その隣にはミツバが自生し、イキイキとした緑色がおいしそう。他にも、細長いハート型の山芋の葉や、お茶の葉など、食べられる野草がたくさん見つかりました。

薬味として楽しむ野草

 田んぼの周りを見て回った後は、山道を戻りながら草花を観察します。スッと背の高いノビルには実がついていました。ノビルといえば球根を食べることで知られていますが、実も食べることができるそうです。いくつもの粒が丸く集まってできている実は、手でほぐすとポロポロと外れます。その一粒を食べてみると、ピリリとした刺激の後にニラのような風味が広がりました。この実を刻んで薬味として楽しむことができます。

ノビルの実

見分け方のコツ

 他の野草よりもいっそう背が高く、小さな菊のような白い花を咲かせるのはハルジオンです。春から秋まで長く咲いているイメージですが、実は5月頃から7月頃まで咲いているのがハルジオン、6月頃から10月頃まで咲いているのはヒメジョオンという別の野草とのこと。「お春さんは早起きで、お姫さんは起きるのが遅い」と覚えるそうです。見分けにくい野草ですが、茎の断面が空洞になっているのがハルジオン、空洞がなく詰まっているのがヒメジョオンです。

ハルジオンとヒメジョオン

季節で移ろう原風景

 この日見つけた野草は全部で23種類。京田辺市環境パートナーシップや「やましろ里山の会」で、植物について伝える活動をしている湯川さんは、すべての野草の楽しいエピソードやわかりやすい解説を聞かせてくれます。自宅にも草花や実のなる木をたくさん植えているという湯川さんは、それぞれの植物がいつ、どこからやってきたのかを話せるほど愛情を注いでいます。「戦争という大変な出来事がきっかけで始めた野草摘みですが、今は季節の移ろいで変化する草花を愛でています。普段みなさんが通りなれた道でも、少し視線を変えて季節の野草を楽しんでください」と話しました。

Table Vol.517(2025年9月)

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