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くらしと社会

大阪の未来は府民が決めよう!!

大阪府では統合型リゾート(IR)誘致「計画」に「待った」をかける「住民投票」を求める署名運動が行われています。そこで、署名運動に取り組む中井万里子さん(コープ自然派おおさか)にその経過や目的について聴きました。

「大阪府の未来を府民一人ひとりの意思で決めるために、ぜひ『住民投票』を実現させましょう」と話す中井万里子さん。

統合型リゾートって?

――大阪・夢洲へのカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致「計画」が府議会で可決しました。

中井 この後、国の審査・承認が得られたら大阪府と業者が「実施協定(契約)」を結び、もう後戻りできません。「待った」をかけられるのは今しかありません。

――そもそも統合型リゾート(IR)とはどのようなものですか。

中井 2018年7月、カジノを含む統合型リゾート(IR)をつくる法案が成立しました。現時点(2022年3月末)で誘致に名乗りを上げている自治体は、大阪府・市、和歌山県、長崎県です。有力候補とされていた横浜市は2021年8月の横浜市長選挙でカジノ反対派の市長が当選したことから誘致を撤回しました。

 大阪IR推進局の広報によると、大阪IRは世界最高水準の成長型IRを目ざし、国際会議場や展示施設、ホテル、ショッピングモール、レストラン、エンターテイメント施設などが一体となった複合観光施設を計画しています。でも、本命はカジノで、儲けの80%はカジノに期待されています。

――カジノにそんなに経済効果を求めていいのでしょうか。

中井 それだけ多くの住民がカジノ=賭博によって大金を巻き上げられることを意味しています。ギャンブル依存症者が増え、貧困や家庭崩壊、治安悪化を招くことは目に見えています。2018年にIR実施法と同時にギャンブル依存症等対策基本法が成立しましたが、わざわざ不幸な人間を生み出しておいて治療プログラムを用意するなどまさにマッチポンプです。

期待できない経済効果

――誘致の目的として地域の活性化がアピールされていますが。

中井 広報には経済波及効果や雇用創出効果、来訪者数、府と市の収入見込みなどの数字が掲載されていますが、その根拠は書かれていないようです。また、事業者の言葉を検証しないまま掲載されています。カジノを訪れる人たちはすべてIR内で行動を完結し、IR外でお金を使う必要はありません。手持ちのお金を使い尽くしてもIR内のATMで借金できるようになっています。さらにコロナ禍で訪日外国人を当てにすることもできなくなりました。ターゲットは主に大阪府民です。建設業者は儲かるかもしれませんが、大阪の経済にとってはマイナスだと経済学者や企業家は口を揃えています。

多額の税金を投入

――大阪市長や大阪府知事は税金を投入しないと言ってきました。

中井 そうです。ところが、人工島の夢洲は災害に弱く、地盤沈下、軟弱地盤、液状化懸念などで整備費用が高騰し、土地改良費などに1578億円もの税金を使うことを表明しました。土地整備費は本来、業者が負担するはずでしたが、業者に逃げられないためか、大阪市が負担することになり、さらに税金投入が青天井に膨らむ可能性があります。財政の圧迫で住民サービスが切り捨てられ、未来の子どもたちも大きな負担が強いられます。ギャンブル依存症による家族や地域破壊の問題も深刻です。

――このような実態を多くの府民は知っているのでしょうか。

中井 昨年の衆院選ではほとんど聞いてなかったし、府政だよりにも掲載されていません。説明会が開催されましたが、告知もなく規模も小さく、ネット配信もありません、また、テレビに出ずっぱりの吉村府知事や松井市長からも聴いたことがありません。私は偶然、説明会があることを知って申し込みましたが、コロナ禍を理由に打ち切られてしまいました。公聴会では参加者の90%以上が「カジノ誘致反対」の意見を述べています。今年、3月1日にようやく広報が府民に配られました。それなのに、いきなり2月・3月の大阪市議会・府議会で一大焦点となったのです。

「住民投票」実現に向けて

――「カジノ」誘致を止めるのは今しかないですね。

中井 大阪の未来を決める大事なことを府民に知らせず、議員だけで勝手に決められてはたまりません。そこで、住民の声をしっかり聴くために「住民投票」を求める運動が始まり、私もそれに参加しています。

――具体的にどのように行われているのですか。

中井 「住民投票」実施を求める個人が呼びかけて「カジノの是非は府民が決める住民投票をもとめる会」が立ち上がり、3月25日(金)から大阪府全域(43市町村)で署名活動がスタートしています。大阪府知事に請求するために必要な署名数は大阪府の有権者の50分の1、最低15万筆以上集めなければなりません。署名期間は3月25日から5月25日の62日間です。

――参加するにはどうすればいいですか。

中井 署名を集める「受任者」登録をぜひお願いします。「受任者」は自分が住んでいる自治体で署名を集めます。各署名簿には受任者の名前など必要事項を記入しなければならないので事前登録が必要です。下記のHPをご参照ください。
※カジノの是非は府民が決める住民投票をもとめる会
ホームページ http://vosaka.net/
※以下の自治体は自治体選挙のため署名実施期間が異なります。
豊中市:4月18日(月)~5月25日(水)/泉南市: 4月25日(月)~5月25日(水)/河内長野市:4月25日(月)~5月25日(水)/泉佐野市:5月16日(月)~5月25日(水)

Table Vol.461(2022年4月)より
一部修正

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