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生産者訪問・商品学習会

トレテスの「おいしい」でつながる笑顔

2025年2月24日、コープ自然派兵庫(ひめじ給食チーム)は、宝塚市にある株式会社トレテスの中川智子さんと中川啓さんを招き、「ぷるんぷあん」の開発秘話や、学校給食を守る取り組みを聞きました。

ひめじ給食チームのメンバーとトレテスの中川智子さん(前方左から2人目)、中川啓さん(後方左から2人目)。中川さん親子揃っての登壇は初めてです。

トレテスの原点「ぷるんぷあん」

 乾燥糸こんにゃく「ぷるんぷあん」は、インドネシア東部にあるトレテス高原の自生種のムカゴこんにゃく芋が原料です。たっぷりの熱湯に5分程浸しておくと、こんにゃくに戻ります。一度乾燥させているので水っぽくならず、ツルっ・ぷにっとした食感で味も良く浸み、まったく臭みがないのが特徴です。焼きそばやチャプチェ、酢の物、サラダと多彩なメニューに使え、学校給食の他国の文化に触れるメニューにも重宝されています。

乾燥糸こんにゃく「ぷるんぷあん」

女性を笑顔にするために

 「ぷるんぷあん」をつくったのはインドネシアの残留日本兵、石井正治さんです。インドネシアではこんにゃくを食べる文化はないため、手つかずの天然原材料でした。現地の人々の経済的自立につながり、日本の人々も喜んでくれるものをつくりたいと、20年の歳月をかけて「ぷるんぷあん」を開発しました。
 「ぷるんぷあん」はインドネシア語で「女性」という意味です。トレテスで扱う商品は、栽培から流通の過程で低所得層の女性の働く場になり、女性の幸せにつながっています。「女性たちは日本の人々がおいしいといって食べてくれるのがうれしいと話しています。食べる時、彼女たちが働く姿を想像してくれたらうれしいです」と中川啓さん。

日本と世界の架け橋になる商品づくり

 「粒こんきらり」はムカゴこんにゃく芋を使った米の形をしたこんにゃくです。米と混ぜて炊いて食べることができ、ひき肉に混ぜてハンバーグにするのもおすすめ。「モ・グッド」は乾燥こんにゃくをカットするときに出る端材を使った、小麦粉、乳、卵不使用のクッキーで、ほろっと感がたまりません。トレテスでは現地の生産者や労働者を圧迫することなく、公正な製造と貿易をしています。国内では福祉作業所に袋詰めなどを依頼しています。

試食メニューは、ぷるんぷあんのきんぴら、ナムル、粒こんきらりの炊き込みご飯、デザートのモ・グッド(こんにゃく粉のクッキー)とローシク・オーガニック・チョコレート

給食がライフワーク

 衆議院議員を経て宝塚市長を3期務めた中川智子さんは、「私のライフワークは学校給食です」と話します。智子さんの政治とのつながりは市民運動が原点。1985年、文部省(現・文部科学省)から「学校給食業務の運営の合理化」の方針が出され、そこには、自校方式からセンター方式へ変更すること、調理員を非正規にすること、そして民間委託を検討するようにと記されていました。「子どもが毎日楽しみにしている給食が危ない!」と直感的に感じた智子さんは、「宝塚市学校給食を考える会」を発足させ、栄養士、調理士、教師を巻き込み署名活動を始めるなどして、民営化とセンター方式を白紙撤回に持ち込みました。
 智子さんは、「給食も戦争も、平和な時にこそ『ダメ!』と言い続けなければ、すぐそこに国にとって都合の良いことだけが迫ってきます」と話します。

学校給食は心と体をつくる

 智子さんが市長になった当時、宝塚市の学校給食のご飯は外部委託で炊飯していたため、運ぶ間に蓋に付いた水滴がご飯に落ちておいしくなくなってしまうという問題がありました。そこで、智子さんは全調理室に炊飯器を導入。炊き立てのご飯を食べることで残食が減り、炊き込みご飯などメニューのレパートリーも増え、子どもたちの食べる量が増えました。そのデータを見た時、中川さんは涙が出たといいます。
 コープ自然派では学校給食の取り組みに力を入れています。智子さんは「学校給食は、おいしいのはもちろん、原材料も国産オーガニックを追求するのが本来の姿。子どもたちの命を想うからこそ強く訴えていくことができます。皆さんの活動を応援しています」とエールを送りました。

Table Vol.513(2025年5月)

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