焼いても茹でても口に入れるとパリッと皮がはじけ、じゅわっと肉汁が溢れる自然派Style「ポークウインナー」と「あらびきウインナー」。新鮮な国産豚肉の旨みと結着力を活かし、食品添加物に頼らずにつくる鎌倉ハムクラウン商会の「食べものづくり」について聞きました。

──食品添加物不使用のウインナーをつくり始めたきっかけは?
魚住 当社が創業した1962年ごろは食べものの工業化がすすみ、食品添加物を使った便利で簡単な加工品がどんどん普及し、「赤いウインナー」があたりまえの時代でした。鎌倉ハムクラウン商会は「子どもたちに食品添加物を食べさせたくない」という地元生協のお母さんたちの声に後押しされ、1971年に発色剤(亜硝酸ナトリウム)を使わない無添加製法を開発し、全国の生協や学校給食、一部の自然食品店のみで販売しています。

──シンプルな原材料でつくれるのはなぜでしょう?
魚住 自然派Styleのウインナーは、国産豚肉に塩、砂糖、香辛料のみで味付けをした、ちゃんとお肉の味がするシンプルなウインナーです。
一般的なウインナーは冷凍の輸入豚肉を使うことが多く、解凍時に旨み成分を含むドリップが流れ出てしまうため、旨みを補う化学調味料(アミノ酸等)や肉の色をよくする発色剤、保水性を高め形や食感を良くするリン酸塩の他、保存料なども添加されます。また、肉を結着させるたんぱく質もドリップとして出てしまうため、卵や乳由来原料のつなぎや結着剤を添加しなければなりません。新鮮な肉には結着する力があり、ひき肉を練ることで自然に粘りが出ます。食品添加物を使用せず豚肉本来の旨み、粘り、弾力を活かすために、鎌倉ハムクラウン商会では一度も冷凍していない肉を製造分だけ毎日仕入れて加工しています。

──今年取り組みたいことは?
魚住 2023年秋から環境負荷を減らすために自然派Styleの包材をプラスチックからバイオマスやリサイクルPET素材に変更し、2024年には他の商品でも同様の素材を使用したパッケージの取り扱いを開始しました。今年は包材の使用量削減を目的とした、大容量パッケージのウインナーの導入に向けて準備しています。
Table Vol.511(2025年3月)