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生産者訪問・商品学習会

給食フォーラム -地元産の給食から子どもと地域の未来を創る-

2024年4月13日、コープ自然派兵庫(ビジョン食と農)とあかしオーガニック推進協議会は、兵庫県宍粟市で地産地消で安心安全な手づくり給食を実践してきた田路永子さんを講師に迎えて給食フォーラムを開催。パネルディスカッションでは各地の給食の取組が報告されました。

田路永子さんを囲んで。「食べる側もつくる側も満足する給食にしていきましょう!」と田路さん

地元産で手づくりをモットーに

 田路永子さんは宍粟市で、地元の旬の食材を使った手づくりの給食をセンター方式で実践してきました。2022年には全国学校給食甲子園で宍粟市を優勝に導くなど、その取組はより良い給食をめざす多くの人に影響を与えています。

 宍粟市の学校給食は、週5日米飯の和食給食が基本です。毎月19日は「食育の日」。この日は、宍粟市産食材100%の「ごはんとみそ汁」の献立です。地元産の精米したての米を使って、子どもたちが自分でおにぎりにします。準備するお米の量はいつもの1・4倍! そして、給食用につくった白大豆の味噌と、地元の干し椎茸の出汁で味噌汁をつくります。田路さんは「海がない宍粟市の究極の地産地消メニューです。地元のものだけを食べていた昔ながらの食事を知る機会としています」と話します。また、月に1度の「ふるさと献立の日」は兵庫県産100%。アユ漁の解禁にあわせたアユの塩焼きや、市内の牧場の牛肉と兵庫県産小麦のうどんでつくる肉うどん、地元で獲れた鹿や猪も給食に使用します。「駆除するだけでなく、いのちをいただくために解体施設をつくってもらい、鹿肉のしぐれ煮やボタン鍋などのジビエ料理も提供しています」と、田路さんは20年ほど続く給食行事を紹介しました。

2022年第17 回全国学校給食甲子園で優勝した主食材兵庫県産100% の「ふるさと献立」(紫黒米ごはん、鰆のしょうゆ麹ソース、切り干し大根のサラダ、野菜と豆乳のクリームスープ、みかん、牛乳)

地域の生産者とともに

 地域ぐるみで宍粟市産の食材を増やす取り組みも行っています。「地元の生産者にゴマをつくってもらいました!」と田路さん。ないものはつくり、地元の食材を使うことが認められて、2014年度からは地元食材に対して宍粟市から補助金が出ています。地産地消と手づくりでコストダウンを図り、安心で安全な給食を維持しています。また、生産者・調理員が子どもたちとの交流を進める「顔の見える給食」として、生産者と一緒に給食を食べる「ふれあい給食」や伝統野菜や伝統食を学ぶなどの食育も充実しています。

宍粟市の給食で育まれる

 コープ自然派兵庫職員の岡本拓也さんは、宍粟市の給食を食べて育ちました。岡本さんは「大学生のころ、給食がとても恵まれていたことに気づき食への関心が高まりました。コープ自然派に務めているのも給食があったからだと思います。食に携わる大人として、子どもたちのために尽力したい」と話します。田路さんは2023年度まで給食現場に携わり、給食を通して多くの子どもたちの未来をつくってきました。

子どもたちに安全な給食を届けたい

 後半は2名のパネラーと田路さんによるパネルディスカッションが行われました。

 稲美町議会議員の松村芳樹さんは小学生の父親で有機農家。地域で食と農のつながりを大切にした給食を推進しています。松村さんは「稲美町の給食は田路さんのお弟子さんがつくっており『給食を食べに学校に行っている』と子どもたちが言うほどです」と紹介しました。

 明石市に住む藤森章代さんは元中学校教諭で3児の母親。子育てをするなか食べものが子どもに及ぼす影響を知り、2022年「幼少中学校給食の無添加を目指す請願書」を明石市に提出しました。請願の可否が決まる議会の傍聴席は子どもを抱いた保護者で埋め尽くされ、全議員の賛成で採択されました。

 田路さんは、「保護者から教職員組合とPTAに訴えかけ、教諭と保護者が一緒に給食の重要さを市に伝えるボトムアップで進めた例もあります」と話し、「市予算の関係で給食費が上げられないジレンマがありますが、子どもの1食そして地元の食材を軽んじています。保護者から給食費予算アップの要請を出していきしょう」と各地で活動する人にエールを送りました。

左から松村さん、田路さん、藤森さん。3市町それぞれの学校給食を紹介しました

Table Vol.503(2024年7月)

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