年末のコープ自然派事業連合20周年記念講演会で土井善晴先生のお話をお聞きする機会に恵まれました。実は私の料理の師匠古川年巳先生は土井勝先生の下で10年学ばれた方なので、善晴先生はオジキ師匠のようなもの、と面識も何もないのにずっと勝手にお慕いしているのです。
お料理番組で拝見する軽妙で親しみやすい語り口で指導される土井先生が数年前『一汁一菜でよいという提案』を上梓された時は正直驚きました。飲食店も家庭の料理も見映え最優先のような昨今に、大御所の料理家がこのような写真を載せた本をお出しになるなんて、失礼ながらヤケクソなのか?とも思いました。と同時に、アンチキャラ弁!反デコ飯!と長年言い続けている自分自身、バエなくても美味しくて体に良くて楽しく続けられる料理こそが本物の家庭料理という信念がベースの部分にあり、先生の勇気あるご提案に目が覚めるような気持ちにもなりました。
講演の中でご本人も「こんな写真出したら仕事なくなるんちゃうかと思ったりもした」と半分冗談めかして言っておられましたが、人気がある土井先生だからこそ多くの方の共感を得て、料理に苦手意識を持つ方を励ますこともできる、大きな大きな意義あるお仕事だな~、かっこいいな~と、増々ファンになったのでありました。
自由自在な発想で、おかずにもなる具だくさんのお味噌汁を提案されている土井先生にあやかって、私もささやかな告白をしようと思います。我が家では夕飯にほぼ毎日お味噌汁をいただきます。おだしは毎朝お鍋に煮干し・干し椎茸・昆布と水を入れて放置(夏は冷蔵)。夕方それを火にかけしばらく煮たら取り出し、椎茸と昆布は細切りして具にしちゃう。そしてあるもの何でも~根菜類や季節の野菜と豆腐か薄揚げにきのこなど、どっさりたっぷり加えて火が通ったら自家製味噌を溶き入れ完成。で、恥ずかしくてこれまで内緒だったのは、翌朝の分まで一緒に作り、朝ごはんにもいただくのです。反則だよね、煮返したお味噌汁。青菜やワカメはクタクタなるから食べる時に入れるなど最低限の気はつかう。そして朝食用には溶き卵を流し入れたり、余分に切っておいた火が通りやすい野菜を足す。再加熱で味が濃くなったと思ったら豆乳や牛乳(気持ち悪い!?意外に合うから一度試してみて~~)を加えたり。パン朝食の日は粗挽き黒胡椒やカレー粉で味変したり、バターやオリーブオイルで風味付けするのもいい感じ。宵越し味噌汁、傷まないようにきちんと温度管理さえすれば、朝から手軽にお野菜いっぱい摂れていいと思うんだけど…邪道かな~⁇
うのまきこ| UNO Makiko 料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。
Table Vol.498(2024年2月)