5月20日(木)、コープ自然派産直委員会準備会は、りんごの生産者・津軽産直組合(青森県)とのオンライン交流会を開催、ネオニコフリー(ネオニコチノイド系農薬排除)でりんごを栽培する努力や想いを津軽産直組合代表・斎藤篤さんに聴きました。

津軽産直組合代表・斎藤篤さんから、ネオニコフリーへの想いや課題などについて聴きました。

産直委員会設立の目的

 コープ自然派は、子どもたちの未来のために国産オーガニックを広げていますが、そのためにはさまざまな産地課題の解決が必要です。そこで、組合員がより積極的に産地とつながり、ともに課題に取り組む場として「産直委員会」(準備会)を設立することになりました。

 コープ自然派のネオニコフリーの取り組みは、生産者消費者討論会での議論から始まりました。農薬を減らすことは生産者にとってリスクもありますが、組合員が想いを伝え、生産者がそれに応えることで、コープ自然派のネオニコフリーは大きく広がりました。そして、農薬排除の意義や最先端の栽培技術を学びながら、生産者とともに国産オーガニックの産直をすすめています。

深刻なドリフト問題

 昨年末、津軽産直組合のネオニコフリーマークのりんごからネオニコ系農薬が検出されました。ネオニコ系農薬とは、農業・家庭用に広く使われている神経毒性の強い農薬です。調査した結果、近隣の畑からのドリフト(飛散)によるものだとわかりましたが、いち早くBLOF栽培理論を取り入れネオニコフリーに取り組んできた産地でのドリフトは、コープ自然派にとっては初めての課題です。そこで、産地訪問を企画しましたが、新型コロナウイルス緊急事態宣言により急遽オンライン交流会を開催しました。

 津軽産直組合は、1987年に数名の生産者で設立し、現在は36名の生産者が「おいしい・安心・安全」をモットーに、りんご、ごぼう、りんごジュースなどを生産しています。青森県でも後継者不足は深刻ですが、津軽産直組合には若い後継者が3割以上いて、後継者のいない畑も引き受けて圃場を広げています。

 斎藤さんから提供された農薬散布の動画からは、農薬が細かい霧状に降り立地や風向きによって他の園場からの飛散を避けられないことがよくわかりました。青森県はりんごの大産地で慣行栽培の圃場も多く「ネオニコ系農薬を使用しないで栽培しても、地域で取り組まない限りドリフトはなくならないと思います」と斎藤さんはとても悔しそうでした。

津軽産直組合の現状

 津軽産直組合ではすべての生産者が有機肥料を使い、おいしく育つよう土壌分析や施肥設計を行なっています。そのうちネオニコフリーに取り組む生産者は5名で、年間500トン以上のネオニコフリーりんごを生産しましたが、コープ自然派で販売できたのは210トン。また、ネオニコフリー栽培ではどうしても傷果が増えてしまい、現状ではこれ以上ネオニコ系農薬を使用しない生産者を増やすことができないとのこと。ネオニコフリーりんごを買い支える人が増えなければ広がらないのが実情です。

 りんご栽培もベースは土。斎藤さんたちは、ふわふわの土作りで根の張りを良くし、常に木に何が必要で何が過剰なのかを見極めながら虫に負けずおいしく実るよう健康的に育てています。りんごは蜜が入る直前が一番美味しいのですが、蜜が入ると痛みやすくなるため、最高においしい状態で届けられるよう納品時期に合わせて栽培法を変えているとのこと。また、抗酸化力や栄養価に重点を置いた「食べて健康になるりんご」栽培にも取り組んでいます。

生産者とともに学ぶ

 当日は、参加した生産者9名とともに、中下裕子さん(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議代表)による学習会「ネオニコチノイド系農薬と子どもたちの健康」に参加、交流タイムで親睦を深めました。学習会では、ネオニコが人体や生態系に与える危険性について、社会的背景も含めて語がありました。日本の子どもたちは胎児期からネオニコばく露を受けています。特に子どもの脳の発達への影響が危惧されます。農薬は環境ホルモンですが、日本には環境中の有害物質を防止するための法規制がありません。そこで、中下さんを中心に子どもたちを危険な化学物質から守るために「環境安全基本法(仮称)」を求める署名活動が行われています。参加した生産者からは、「ネオニコ系農薬を使わない栽培の意義を納得できた」「こんなに害があるものだと知らなかった。周りの人たちにも教えてあげたい」という言葉もあり、学ぶ機会の大切さを確認しました。

私たちにできることは?

 「味、栄養価、価格、安全性のうち、ピラミッドの頂点に何を置くかをきちんと考えなければならないと思います。消費者の方たちは買い支えるだけでなく、生産者とともに考え、ともに取り組んでいくことが必要なのではないでしょうか」と斎藤さん。りんごの黒星病などは、表面に傷があっても中身には影響ありません。コープ自然派が何を大切にしているのかをわかりやすく伝え、出荷基準にも反映させていくことが求められます。

 今年5月に発表された農水省「みどりの食料システム戦略」には、ネオニコ系農薬の削減が明記されました。世界はすでにネオニコフリーに大きく動いています。日本でもコープ自然派から、生産者と組合員が連携してネオニコフリーを広げていきましょう。(コープ自然派事業連合副理事長・辰巳)

Table Vol.444(2021年7月)より
一部修正・加筆