コープ自然派兵庫は秋の総代交流会を開催、2021年10月8日(金)には第2弾として、鳴門魚類・山本章博さんに水産資源の現状やプラスチック問題、そして、鳴門魚類の取り組みについてオンラインでお話を聴きました。総代とは組合員の代表で総代会で決算の承認などを行います。

山本さんはどんなに魚が高騰しても産卵前の魚は買わないことにこだわっています。魚はすべて手切りで手を洗う消毒液も環境に配慮したものを使用。

天然魚を無添加で加工

 鳴門魚類(株)とコープ自然派は前身の共同購入会時代からのお付き合い。1993年、山本さんの父親で先代社長が(有)生産者友の会を設立、生産者から直接仕入れるネットワークを構築し、取り扱い魚種を増やしていきます。2006年、徳島県鳴門市に新社屋を建設、鳴門魚類(株)と改名して新たなスタートを切りました。

 東京のアパレル会社で企画・営業に携わっていた山本さんは27歳の時に父親の事業継承のため徳島に。魚のさばき方は父親から手ほどきを受け、当初、1日3000匹程のサバをさばいたということです。その後、各生協で開催された魚のさばき方教室は大人気、コープ自然派生産者クラブでも活動してきました。

近代化が招いた海の危機

 世界的に1人当たり魚介類の消費量が半世紀で約2倍に増加、その要因として、流通の国際化、スーパーマーケットなどでの購入の増加、新興国・途上国での食生活の変化などがあげられます。世界の人口は増え続け、世界全体の魚介類消費量は半世紀で約5倍となりました。一方、海洋環境の悪化、近代漁法による乱獲などにより1990年代から漁獲量が減少し続けています。

 海洋環境を悪化させる要因として、プラスチックごみ問題は深刻です。2018年には日本だけで約871トンのプラスチックごみを排出。2050年には海のプラスチック量が魚の量を超えると言われています。一次マイクロプラスチックは、洗顔料・歯磨き粉といったスクラブ剤などに利用される小さなプラスチックのことで、家庭の排水溝などから下水を経て海へ流出。一度流出すると回収は難しいとされています。二次マイクロプラスチックは、街に捨てられたビニール袋やペットボトルといったプラスチック製品が側溝などから川を伝って海へ流出し、紫外線による劣化や波の作用などにより破砕されて、マイクロサイズになったものです。

持続可能な社会に向けて

 このような状況下、鳴門魚類ではトレーレスの取り組みを始めました。秋鮭西京漬け、サバ西京漬け、銀鱈西京漬けはどうしてもトレーが必要なので、紙トレーに移行する予定。「コストは10倍程度になり、紙トレーだと見た目も良くないのですが、業者ができることとして自分のところから始めたい。紙トレーはできれば再生紙を使いたいと思っています。必要なものを必要なだけ獲ってごみを減らす暮らしに変えなければならないと思います。スタートがうまくいくようお力添えよろしくお願いします」と山本さんは話します。

 また、山本さんは、北海道紋別郡雄武町(おうむちょう)の取り組みについても紹介。雄武町には日本最北の高層湿原や国が保護する原生林があるピヤシリ山とオホーツク海に挟まれた豊かな漁港があります。雄武漁業協同組合とは山本さんの父親の代からの付き合いで、帆立貝、鮭、イクラ、毛ガニなどが鳴門魚類を通じてコープ自然派に供給されています。雄武漁協では1996年から女性部が中心となって、川の源である森林の環境を整えることが海を豊かにすると、鳴門魚類をはじめさまざまな企業や団体の協力を得てオホーツク海に流れ込む幌内川下流域に植樹を続けています。この活動は100年かけて100年前の山・川・海の環境を取り戻すというもので、現在、2万本以上の白樺や楢の木が植林されています。

 「このままだと2050年には魚はいなくなってしまいます。コストを考えていたら前には進めません。私たちの取り組みが波及することを願います」と山本さんは話します。

Table Vol.452(2021年11月)より
一部修正・加筆