2023年4月26日、コープ自然派兵庫(ビジョン環境主催)は、鎌仲ひとみ監督作品「六ケ所村ラプソディー」上映会× 津軽りんごを味わおう♪を開催。昨年9月、連合産直委員会では青森でネオニコフリーりんごの栽培に取り組む津軽産直組合を訪れ、翌日には日本の原子力産業の要、使用済核燃料再処理工場がある上北郡六ケ所村を訪問しました。今回は、このツアーに参加した役職員の「多くの方に現状を知らせたい」という想いから企画。午前午後の2部制で行われました。
「六ケ所村ラプソディー」は長編ドキュメンタリー映画です。2004年、青森県・六ヶ所村に使用済核燃料の再処理工場が完成しました。原発で使った燃料からプルトニウムとウランを取り出す巨大な国家プロジェクトをめぐって、推進派、反対派、さまざまな人々の思惑が交錯し揺れ動く住人たちの姿を映し出します。カメラは事故を起こしたイギリスの再処理工場にも迫っていきます。
私たちのくらしに電気が欠かせないのは事実です。鎌仲ひとみ監督は、「国民は核技術による電気の恩恵に預かっています。私たちにとっていったいどんな意味があるのか。賛成・反対を超えてその内容や意味を見つめよう」と、この映画をつくりました。電気を大量消費するくらしは、想像をはるかに超えた多くの犠牲の上に成り立っています。
核施設がある六ケ所村をはじめ、原発は自然豊かな場所につくられます。そこには美しい海、穏やかな山や畑、田んぼや川があり、漁業や農業が盛んでそれぞれのくらしがあり、温かい人間関係があります。けれど、くらしの根っこには核があり、事故が起こればたちまちすべてを失います。何を得て、何を失ってしまうのでしょうか。
食卓とつながる六ヶ所村
りんごの生産者も同じです。津軽産直組合ではすべての生産者が有機肥料を使い、うち5名がネオニコフリーに取り組んでいます。ネオニコフリー栽培ではどうしても傷果が増えてしまうことや、周辺からのネオニコ系農薬のドリフト(飛散)など深刻な問題を抱えながらも、「『おいしい」も『安全』も大切にしたい」と丹精込めて生産しています。でも、事故が起きると、りんごも無傷ではいられません。大切なことを守るために、私たちは何ができるのでしょうか。
「反対!と声をあげられなくても、賛成ではないと伝えられます。何も言わないのは賛成と同じ。中立は容認になる」映画の中で農家が訴えかけ、会場で共感を得た言葉です。参加者は、怒りや情けなさ、もどかしさなど胸が詰まる想いを感じ、これからの自分の行動を問う発言がありました。また、「原発といのちは共存できない」と強く訴える言葉もありました。
映画が終わるころ、りんごのあま〜い香りが漂ってきました。りんごを丸ごとオーブンで焼いた焼りんごのでき上がりです。レシピをご紹介します!
①十字に切り込みを入れる。
②オリーブオイルとレモン汁、塩を少し振る。
③予熱なし150℃のオーブンで、じっくりじっくり焼く。(今回は上映時間に合わせて2時間)
黒糖をかけるのもおすすめ♪秋頃には新しいりんごが登場します。コープ自然派は原発のない社会をめざしています。安全なりんごを守るため、私たちにできることを考えたい。主催者はそう締めくくりました。
Table Vol.491(2023年7月)より
一部修正