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食と農と環境

第17回GMOフリーゾーン運動 全国交流会プレイベント

2023年2月25日(土)、「第17回GMOフリーゾーン運動全国交流集会」が東京で開催されます。2022年11月29日(火)、そのプレイベントとして「給食からの革命」上映会&講演会をオンライン開催。
講演会では日本有機農業研究会・久保田裕子さんと遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表・天笠啓祐さんが学校給食や有機農業、GMOフリーゾーン運動について話しました。

「食の安全、生物多様性、未来の世代を守るためにGMOフリーゾーン運動広げましょう」と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表・天笠啓祐さん。

学校給食と有機農業運動

 GMOフリーゾーン運動は遺伝子組換え(以下、GM)やゲノム編集を含む遺伝子操作食品を「作らない、食べない、買わない」運動で、1999年、イタリアのワイン農家が始め、世界に広がりました。日本では2006年以降、毎年、活動団体が集まり、農地、牧場、山林のフリーゾーン登録状況・活動報告をはじめ、有識者による最新情報報告、懇親会、農場見学ツアーなどを行ってきました。

 久保田さんによる講演会「学校給食と有機農業について」では、フランスのEgalim法(「フランス新農業・食品法」2018年)や日本の学校給食などについて解説。Egalim法は生産者への適正な再配分と相応な収入の確保、また、健康的で高品質、アニマルウェルフェアに配慮した持続可能な食品をすべての人が利用できるよう示されたもので、学校給食の有機化やネオニコチノイド系など農薬の使用禁止や削減についても言及しています。また、久保田さんは日本の有機農業運動や「全国オーガニック給食フォーラム」(2022年10月開催)などについても紹介しました。

抜け穴だらけの食品表示

 続いて、天笠さんの講演「GMOフリーゾーン運動の歴史とゲノム編集食品」。文科省はGM作物実験栽培の物理的・生物学的封じ込めが必要であると定めています。しかし、環境への影響や食品の安全審査については、開発企業が評価を行い、動物実験が免除されるなど、多くの食品が表示を免れ、2023年4月から不使用表示もほとんどできなくなります。

 ゲノム編集生物の安全性評価については、現在開発されているDNAを切断し遺伝子の働きを壊すゲノム編集食品は評価が不要で届け出も任意なので、消費者はゲノム編集食品かどうか知ることすらできません。

 GM生物など生命操作生物から生物多様性を守るためにつくられた「カルタヘナ議定書」(2003年発効)は前文で予防原則を求めています。一方、カルタヘナ国内法では予防原則を制限し、「人の健康」については考慮という言葉で、「食品の安全性」については対象外としました。

GM栽培規制を条例に

 日本政府は「ゲノム編集はGMではない」との見解を示していますが、欧米ではゲノム編集を「NewGMO」と位置づけています。脱プラスチックの動きからGM・ゲノム編集樹木の開発やゲノム編集家畜・細胞培養肉の開発もすすんでいるということですが、市民の反対が強く市場には流通していません。現在、世界では日本でのみゲノム編集トラフグ、マダイ、シシリアンルージュ高ギャバトマトが登場しています。

 山形県藤島町(現在の鶴岡市藤島)のGM作物栽培規制条例を皮切りに、都道府県での指針・条例制定の動きが北海道から始まり、新潟で規制条例、愛媛県今治市、山形県高畠町、宮崎県綾町で画期的な条例が制定されました。北海道、新潟県、千葉県、京都府、徳島県、神奈川県は、食の安全・安心条例にGM作物交雑・混入防止の項目を入れました。食の安全・安心条例に連動した条例・指針の施行・制定、独自の指針・方針の制定、GM作物交雑・混入防止の項目を入れた条例等の施行を行う自治体が増えています。「GMOフリーゾーン運動は、1999年イタリアから始まり、日本では2005年に滋賀県高島市を皮切りに全国各地で開催し、地域や個々の農家、団体、市民が宣言をつないできました。GMOフリーゾーン運動全国交流会はこれらの取り組みが結集したものです。今後も自治体に働きかけていきましょう」と天笠さんは話しました。

Vol.482(2023年2月)より
一部修正・加筆

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