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くらしと社会

今、注目されているZEHゼッチって?

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、通称「ゼッチ」が新しい省エネの形として注目されています。2023年1月11日(水)、自然の住まい協議会は、中津真さん(NPO国産材住宅推進協会)を講師にZEHについてオンライン学習会を開催、ZEHのメリットやデメリット、価格などについて聴きました。

「資材高騰の中でも補助金や工夫でZEH住宅を80万円台(坪あたり)で建てられます」と設計士の中津さん。

ZEHの基本的な考え方

 ZEH(ゼッチ)とは、使うエネルギーを減らし、さらにエネルギーをつくることでエネルギー収支をプラスマイナスゼロにする家のこと。政府は2050年にカーボンニュートラル実現を目ざし、この目標を達成するためにも住宅で使うエネルギーをできる限り減らそうと2030年からすべての新築住宅をZEH水準にしようとしています。2020年6.6万棟、2021年7.8万棟とZEHは増加傾向ですが、2030年までに新築住宅をすべてZEH水準にするのは高い目標設定なのでさまざまな支援制度が設けられています。また、政府は2030年までに6割の新築住宅に太陽光発電を設置することも目標として掲げています。

エネルギーをつくり出す

 エネルギーをつくり出すには、住宅の場合は主に太陽光に頼ることになります。太陽光発電システムは、太陽光パネル、パワーコンディショナー、さらにエネルギーを効率的に使うために蓄電池を組み合わせるケースも多くなっています。導入コストは一般的な家庭用太陽光パネルは5kw当たり約70万円、パワーコンディショナー20〜25万円、蓄電池は110万円程度です。設置工事費用は約40万円ですが、新築の場合は比較的安くなります。

 4人家族の電気使用量は1日当たり13〜18kwと言われ、家庭用太陽光パネルで発電できるのは14〜15kwなので電気はほぼまかなえます。ただ、太陽光パネルは昼間しか発電できず夜間は電気を買うことになり、夜間電力電気価格は1kw当たり15円〜20円、売電価格は固定価格買取制度のもとで今年は1kw当たり16円となっています。「そうなると太陽光パネルの耐用年数もあり、投資費用を売電などで回収することは実質的に不可能です。しかし、災害時に電気が途絶えないというメリットがあります。また、ZEHを達成することで補助金を利用できます」と中津さん。補助金については、太陽光パネルだけでは補助金は適用されず、蓄電池と合わせて36万円、蓄電池のみで10万円、それに地方自治体の蓄電池補助金10万円程度も利用できます。

使うエネルギーを削減

 使用エネルギー基準値の20%を削減するのがZEHの考え方です。冷暖房は高性能エアコンに、給湯設備は高機能電気温水器に、換気設備は全館空調システムや熱交換換気設備に、照明設備はLED照明やセンサーライトに変えることで使うエネルギーを減らすことができます。新築の際は設計段階で設備を決定することが必要です。ただし、ZEHには生活家電の消費エネルギーは加味されていないので、本来のZEHを達成するにはZEH以上の省エネ性能が必要です。

 全館空調システムは家全体が計画換気され、均質な温熱換気ができますが、導入コストが高く、空気を混ぜるだけだと60万円、高いものは200万〜300万円です。40〜50坪以上の家でなければ、床下エアコンは全館空調に近い温熱環境ができ費用対効果が高いので人気です。

エネルギーを逃さない

 高温多湿の夏と底冷えする冬の寒さが繰り返される日本の住宅は外気温の変化にさらされます。昨年、断熱性能評価が更新されました。これまで4が最高値だったのが昨年10月以降は7が最高値になりました。2025年には断熱等性能等級4は最低値になるということです。ZEHは断熱性能評価5以上としています。ちなみに断熱性能評価7の家とは、夜間に暖房を切っても朝はほとんど寒さを感じないくらいで、ロフトや屋根に近い部屋で夏も普通に生活できるような性能をもつ家です。「ZEHの場合、昨年、神戸市北区で建てた家を例に挙げると、12月、周辺は氷が張っていても床下エアコンを2時間つけると日中はほとんど温度差がない状態でした」と中津さん。最近は新築だと複層ガラスサッシが主流で、最近出た5枚ガラスというのもあります。サッシの枠部は樹脂サッシだと気密性能・断熱性能とも高く、結露の問題が解決されます。また、窓を小さくすれば熱が逃げにくくなるので、最近は窓の小さな家が多くなり、窓の開閉は横にスライドするものから押し出し式や扉のように開くタイプが多くなっているということです。

自然素材でより効果的に

 「気密性の高い家であるほど、室内の湿度や空気環境を整える必要があります。その際、無垢の木や土壁が効果を発揮します。床など直接触れる部分は無垢の木は暖かく感じられ、土壁は湿度を調節してくれます。逆に気密性が高いのにビニールクロスや新建材など呼吸しない素材だけ使っていると機械で処理するしかなく、停電した時には住みにくくなります。床は杉板、壁はシックイなどの塗り壁がおすすめです」と中津さんは素材の大切さについても話しました。2023年度、ZEHへの支援事業としては、「子どもエコ住まい支援事業」最大100万円は18歳未満の子どもがいる世帯、もしくは39歳以下の夫婦世帯が対象。「ZEH補助金」は55万円。「ZEH+」はZEHに追加設備を入れると最高100万円までもらえます。

(左)自然の住まい協議会について説明するコープ自然派奈良・上市理事長。自然の住まい協議会は「まちに森をつくろう」をスローガンとして掲げ2005年に設立されました。(右)司会はコープ自然派京都・平出常任理事。

Vol.482(2023年2月)より
一部修正

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