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食と農と環境

女性生産者からのメッセージ

2022年4月、NPO法人ORGANIC SMILEは有機農業を論理的・科学的に学ぶ有機の学校を熊本県上益城郡山都町に開校しました。
山都町は標高300~900mの冷涼な気候と寒暖の差を生かした有機農業に適した地域です。
有機の学校では高品質・多収穫を実現するBLOF理論を中心に、栽培技術と農業経営について、講義や畑での実践によるカリキュラムで学びます。2022年12月5日(月)、女性生産者によるオンライントークイベントを開催し、運営を担う生産者の大山奈穂美さん、今村絵理さん、岸千恵さんに農業を営むことになったきっかけや経営、栽培などについて聴きました。

夫と野菜に惚れ込んで〜大山奈穂美さん~

 大山奈穂美さんは神戸市出身、会社員の家庭で育ち、書店員を経て現在、御船町で有機農業を営んでいます。11年前、大山さんは夫の大輔さん一家が栽培した有機野菜に出会い、「無農薬・無化学肥料でこんなにイキイキしたきれいな野菜をみたことがない!」と感動。大山家にホームステイし、1ヵ月間の田舎暮らしを体験します。

 野菜を栽培する大輔さんの姿と野菜に惚れ込んだ大山さんは、結婚と同時に有機農業生産者の道に進みました。大輔さんの両親は有機農業が普及していない頃から御船町で有機栽培に取り組み、仲間とともに有機農業の歴史を築いてきた第一人者です。ニンジン、タマネギ、サトイモ、ニンニク、ジャガイモ、ダイコン、オクラ、スナップエンドウなどさまざまな種類の野菜を栽培。「畑には多数の虫が集まり、息子(小2)は昆虫好きの頭脳派として農業を支えてくれます。昆虫オタクが生まれるこの豊かな自然を守りたいです。有機の学校で学ぶことで、自分の農業を早く確立することができます。さらに、先輩からの学びが多く、畑や住まいの相談にも乗ってもらえるので安心して新規就農に取り組めますよ」と大山さんは話します。

夫妻で始めた有機農業〜今村絵理さん~

 「リーフレットファーム」・今村絵理さんは、夫の剛喜さんと農業を始めて12年になります。有機大玉夏秋トマト、有機ニンジン、有機ホウレンソウを栽培。今村さんは天草市牛窓町という漁業が盛んな地域の出身で、学校卒業後は放送局に勤務、農業とは無縁の人生を歩んできました。交際中だった剛喜さんが「人生をかけてやれる職人的な仕事」と農業の魅力にハマり、2人は結婚して旧・蘇陽町(現・山都町)に移住、新規就農します。「付加価値のある農作物をつくりたい、自信をもって家族や友だちに食べてもらえる野菜をつくりたい」と考え、有機農業を独学で開始。当初、地域の人から有機農業への理解が得られず、また、思うような結果が出せず金銭面での苦労などがありました。

 しかし、これらを原動力に2人でさまざまな問題を乗り越え、今村さんは会計・事務・農作業を、剛喜さんは栽培技術の習得・農作業全般と互いの得意分野を生かして役割分担しているとのこと。有機農業を生業に心身とも豊かな生活をおくることが目標です。また、今村さんは地域の子どもたちをニンジン畑に招き、食育活動にも取り組んでいます。剛喜さん自作の紙芝居で学んだ後は収穫体験。抱えきれないほどのニンジンを収穫する子どもたちの姿は、農家にとっても喜びのひとつで、このような食育活動は今後も続けていきたいということです。

震災をきっかけに農業へ〜岸千恵さん~

 「YASKIFARM」・岸千恵さんは、東日本大震災をきっかけにバンドメンバー3人で熊本県山都町に移住しました。震災時、岸さんはライフラインが止まるなか、バンドメンバーたちと被災地へ行き、炊き出しやライブのボランティア活動を始めます。しかし、思うように活動ができず、自分が生きる・食べる手段をもっていないことに気づいたということです。

 そして、生活の基盤から変えようと、有機農業を志し、山都町有機農業サポートセンターでBLOF理論を学びます。畑に選んだのは、阿蘇外輪山の中山間地域の耕作放棄地でした。耕作放棄地は、一見、雑草だらけの荒野のような土地ですが、長期間農薬が使われていない豊かな土壌で、有機JAS認証を取得するのに理想的な土地だということです。山都町の暮らしのなかで、岸さんはお田植祭や八朔祭り、どんどや、井手さらい、野焼きなどの地域の神事や行事などに参加しています。地元のあらゆる年代の人たちと交流を深め、農業は何歳になっても続けられる魅力があると言います。

 2016年の熊本地震では、農家仲間とともに暑さ対策、道路の復旧作業、炊き出しなど、困っている人たちの力になることができました。「有機の学校では、高水準の有機野菜をつくるために必要な学びがあり、私たちが受けてきた恩恵を新規就農者に受け継ぎたいと考えています。また、山都町には有機農業の歴史があり、有機農業の町にしようという機運の高まりと熱があり、そのような土地でぜひ学んでいただきたいです」と岸さんは話しました。

司会進行を努めたコープ有機九州支所・鎌田支所長は、コープ自然派を定年退職後、熊本に移住し豊かな田舎暮らしを満喫しています。

Vol.481(2023年2月)より
一部修正

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