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連載

わくわくキッチン「種蒔キストのユウウツと野望」うのまきこ

 植物の種を蒔くのが大好きなのです。いったん植えると芽が出るまでずっとソワソワ。ヒマさえあればじっと見つめ、微かに土が持ち上がる気配にウキウキ。そうなればだいたい次の朝には愛らしい芽がピョッコリ顔をのぞかせてくれるから、それを楽しみに早寝早起き。

 蒔くのは何も市販の種に限りません。以前にも書いたけれど、食べたフルーツの種を取りあえず植えて観察するのは、もはやライフワークになっていて。実の姿しか知らない果物のキュートな芽ばえ~葉っぱ、うまくいけば花まで見ることができちゃうのは、本当に楽しくて仕方ない。我が家の自慢は6~7年前に植え、すくすく育ったマスカット。実る前の柔らかい葉っぱはギリシャのひき肉料理に、新芽は天ぷらにしてもいい感じ。摘果した未成熟果は絞って漉せばマリネにぴったりの果実酢になるし、ギリギリまで完熟させた実は見かけ不細工だけど味はバツグン。さらに剪定したツルでガーデニング用の簡単なオベリスクを編むことだってできる!次はワイン醸す?なんて調子に乗ったダンナは言ってるけど、狭い庭でさすがにそれはないわなぁ(笑)。

 てなわけでマンゴーにアボカド、ライチー、パイン(クラウンからの再生)、ビワ、柚子、りんご、カラマンダリン。深く考えず、ほとんど勉強もせず、適当に植えるだけなのに種蒔キストの才能があるらしき(そんなものはありません)私にかかれば発芽率9割超え。増える一方の幼苗を里子に出すのもまあまあ大変なのに、またすぐ植えちゃうのが悲しいサガ。アボカドなんて100%発芽するため、命が詰まった大きな種をゴミとして捨てるのに抵抗があり、最近は食べたくても買うのをためらってしまう憂鬱な日々なのです。

 家庭菜園の野菜も種から育てる楽しさを知ってからは苗購入には戻れない。だけど種ってついつい多めに蒔くから、そんでもって発芽率超高めだから、いつも苗が余ってしまうのです。そこで新たな野望がムクムク。コープ自然派で植物苗の交換サークル活動できないかな~?家で株分けした花の苗や、増えてしまった球根なんかも持ち寄って、ガーデニングや家庭菜園の情報交換&植物交換。子どもの頃のシール交換みたいにワイワイ集まれたら楽しくない?でもこれ生協の営業妨害になっちゃうのかな?な~んてことをグルグルと考えながら、ヒョロンと出てきた玉ねぎの芽をウットリ眺める秋の夕暮れでありました。

うのまきこ|UNO Makiko
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。

Vol.473(2022年10月)

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