事故や病気で足の切断をした人は日本で約7万人、その3割を女性が占めます。
女性義足ユーザーコミュニティ「特定非営利活動法人ハイヒール・フラミンゴ」で理事として活動するコープ自然派おおさか・海老根さんに義足をつける日常と、同じ立場の人たちとつながる取り組みについて聴きました。

ミニチュア粘土作家としても活動する海老根さんは「フラミンゴ・カフェ」でイベント「レジンでつくるミニチュアクリームソーダ」を開催。

おしゃれをあきらめない

 2018年、「ハイヒール・フラミンゴ」(2020年にNPO法人化)は義足をつける女性のためのコミュニティとして誕生。義足でもおしゃれをあきらめない女性の象徴「ハイヒール」に、片足で凛として立つ「フラミンゴ」のイメージを重ねて名付けられました。「行けるところではなく、行きたいところへ行こう」という社会の実現を目ざし、仲間とつながりながら楽しく前向きに活動しています。義足に関わるスタッフや義肢装具士のほとんどは男性で、義足ユーザー同士の交流も「義足で走ろう」など男性中心のスポーツ系コミュニティばかりでした。足を失うショックや、義足であることを知られたくない、見られたくないなど、コンプレックスを抱え閉じこもってしまう人も多く、「ハイヒール・フラミンゴ」は、女性義足ユーザーが想いや情報を共有し安心してつながることができる日本で初めての場となっています。

好きな布を加工して義足に貼り付け、キラキラとかわいいオリジナルの義足をつくってもらえます。

 月1回開催する「フラミンゴ・カフェ」では、ヒールのある靴を履く、草履を履いて和装を楽しむ、義足ネイルをする、温泉やホテルのお風呂に入るなど、今まであきらめていたことを仲間と一緒に挑戦。コロナ禍でオンライン開催が始まり、関西だけでなく全国から多数の女性ユーザーが参加し、交流がますます盛んになっているということです。

自分らしく暮らせる社会

 海老根さんは18年前、妊娠中に骨肉腫を発症し、出産後に足を切断して義足をつけることに。「苦渋の決断でしたが、生命を維持し子育てをしたいという気持ちが何より強かったです」と海老根さん。義足は定期的なメンテナンスが必要で、1kg程の体重の増減が装着感に関わる繊細な補装具です。水に弱い、急に走りにくい、重いものを運びにくいなど義足にはさまざまな困難がありますが、海老根さんは電車や車を利用し毎日アクティブに過ごしています。「義足をつけている人がいて、それを当たり前のように受け入れてくれる社会が理想です。一見わかりづらい障がいですが、義足ユーザーと出会った時はできるだけ普通に接してほしいです」と本音を語ってくれました。

仲間同士の支え合い

 「ハイヒール・フラミンゴ」では義足ユーザーや下肢切断を控えた女性に対する「ピアサポート事業」を準備、ピアは「仲間」、サポートは「支援する」を意味し、同じような境遇にある人同士が悩みや不安を語り合うことで支え合い、安心感を得ながら自立することを目ざしています。「気軽に話を聞いたり相談できる場をさらにつくれたらと思います。若い人たちに自分の経験を伝え、出産を望む人にはあきらめてほしくないし、子育ても楽しんでほしいです」と海老根さんは話しました。

Table Vol.469(2022年8月)より
一部修正・加筆