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くらしと社会

福島原発事故は終わっていない!!

原発賠償関西訴訟の原告団の1人でもある菅野みずえさん。第23回公判後の報告集会でも福島県の対応について訴えました。

事故直後の「検査記録なし」

 福島第一原発事故の直後、福島県は住民や避難者の放射能汚染を測定するスクリーニング検査を行いました。しかし、その検査の手続きが大幅に簡略化されたため、検査を受けた人や後に甲状腺がんを発症した人たちが初期の甲状腺被ばく量を把握できない状態になっています。

 福島県は2011年3月12日に1万3000cpm(体表の放射線が40Bq/㎠)でスクリーニングを開始しました。しかし、翌13日には10万cpmに基準を引き上げ、同時に手続きを簡略化しました。福島県の「緊急時被ばくマニュアル」によると体表の放射線が1万3000cpmを超えた場合は、一時除染と鼻腔スミアを行って再測定し、再び基準値を超えれば医療機関への搬送を行うことを規定、いずれの過程でも記録を残すことになっています。

 菅野みずえさん(コープ自然派兵庫組合員)は、福島県浪江町から郡山市の仮設住宅に避難したのち兵庫県三木市に移住、2016年に甲状腺がんの手術を受けています。菅野さんは2011年3月15日に郡山体育館で検査を受け、測定器の針が振り切れる状態でしたが、福島県からは「測定記録は残っていない」と言われました。菅野さんは子どもたちの甲状腺がんが本当に原発事故との因果関係がないのか福島県に尋ねましたが、「資料はない」「何もわからない」と回答、今年7月2日、菅野さんたちは福島県庁を訪れ、当時の状況を検証するよう要望書を提出しました。「郡山体育館で多数の方が検査を待っていて、嘔吐する人や気分が悪くなった人も多かったです。私と同じような人が県内にいるはずなので継続した健診の重要性を訴えていきたい」と話しています。(※cpmとは1分当たりの放射線計測回数)

今夏も全国各地で「保養キャンプ」

 「保養キャンプ」とは、放射性物質の影響を受けた地域に住む人たちや放射能の不安を抱える人たちが休日などを利用し居住地から離れて心身を癒す取り組み。「保養キャンプ」が心身に良い影響を与えることはチェルノブイリ原発事故後のベラルーシなどでも確認されています。福島原発事故から8年を経た今年も全国各地で保養キャンプが行われました。「吹夢キャンプ」(大阪府吹田市)は2011年夏からコープ自然派おおさか組合員などが中心となって実施し、今夏も福島県や関東から親子を迎えました。コープ自然派の食材や近隣農家の無農薬野菜を使った食事は大好評。親たちとの交流ではさまざまな悩みが話されます。福島県いわき市では今夏から臨海学習が実施されることになり、海の汚染がとても心配だと話す4人の子の母親。また、給食や体育の授業などで教師と意見が合わず、学校に行けなくなった子への対応に悩む母親もいます。「原子力緊急事態宣言」は今も発令されたまま、食べものの放射能測定基準値は1Bq/kgから100Bq/kgに引き上げられたままです。

Table Vol.400(2019年9月)

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