2024年9月5日、コープ自然派奈良(理事会)では、国産材住宅推進協会の細江由理子さんを招いて「タイプ別収納術」を学びました。断捨離やミニマリストが流行するなか、〝捨てるから始めない〟お片づけとは?

お片づけの悩み
家の中にモノがあふれている、一度片づけてもリバウンドする……多くの人が片づけに悩んでいます。片づいた家を保つためには、大きく分けて2つの段階が必要です。ひとつは、自分を知り、モノを整理し、適切な場所に収納する「暮らしの土台づくり」、もうひとつは、それを維持する「習慣化」です。
自分を知る
片づけは、自分がどんな価値観を持っているのかを知ることから始まります。「まず、自分にとって大事なモノやコトを10個書き出し、その中から上位3つを選んでみてください」と細江さん。参加者の多くが挙げたのは、健康、家族や友人、仕事や趣味など。「私たちが人生で大切にしているのは、モノよりコトが多いことに気づくのではないでしょうか」。さらに、「捨てられないモノを挙げてください」という問いかけには、お金や宝石などの貴重品や毎日使う生活用品と並んで、アルバムや贈り物など思い出のあるモノや、気持ちのこもったモノが多く挙がりました。細江さんは「自分は何を大切に感じているのか、その価値観を守ることができるモノを選ぶことが、片づけの第一歩です」と話します。
モノを整理し、収納する
次のステップは、選びとったモノの場所を決めること。自分の毎日の行動を振り返り、動線を考えて、モノを分類し収納します。例えば衣類であれば、洋服を着る→脱ぐ→洗濯→干す→取り込む→畳む→タンスやクローゼットに入れる→再び着るという動線を、無理なくできるように収納場所を決めます。
ここで、必要であればモノを減らします。「よく使うかどうか」と「思い入れがあるかどうか」という2つの軸を基準に、あまり使わない上に思い入れもないものは優先的に減らしましょう。あまり使わないけれど思い入れのあるものは、生活動線の邪魔にならない場所に収納することで、〝捨てない選択〟も可能です。
タイプ別収納術
では、どんな収納方法が自分に合っているのか。自分のタイプを知るヒントに「利き脳チェック」があります。
まず、情報を「インプット」するときの利き脳を「指組」でチェックします。両手の指を組んだときに親指が下になるほうが利き脳です。次に、情報を「アウトプット」するときの利き脳を「腕組」でチェックします。腕を組んで下になるほうが利き脳です。このインプットとアウトプットの利き脳の組み合わせによって、おススメの収納方法が異なります。
【左左脳タイプ】ラベリングやリスト管理、系統立てた収納が得意。見せない収納で視覚的な情報を減らすのが◎。
【右左脳タイプ】見えるところはビジュアル重視、見えないところは合理性重視で、メリハリの効いた全体設計を。
【左右脳タイプ】きちんとしたい(左脳)けれどできない(右脳)と悩みがち。マイルールを決めてざっくり運用するのがオススメ。
【右右脳タイプ】見えないと存在を忘れがちなので、とにかく見える収納を。ワンアクションで使って戻せる簡単さも重要。

習慣化する
暮らしの土台ができたら、あとは片づけを習慣化するだけ。「その習慣化が難しい」という声が聞こえてきそうですが、「自分に管理できる量を、自分に合った方法で片づければ、リバウンドせずに維持することは難しくありません」とのこと。
細江さんは建築士として国産材の住宅を設計する中で、せっかくステキな家を建てても片づけがうまくできずにストレスを抱えている家庭が多いことを知り、片づけサポートの仕事を始めました。「片づけは目的ではなく手段。人生を豊かに幸せにするための片づけをお伝えできたら嬉しいです」と締めくくりました。
Table Vol.510(2025年2月)