2021年11月25日(木)、コープ自然派兵庫(ビジョン未来と環境主催)は「みんな電力」・山下麻美さんを講師にオンライン学習会を開催、自然エネルギーの現状や電力会社の選び方について聴きました。
石炭火力高依存の日本
地球温暖化の影響で再生可能エネルギー(再エネ)の普及が進んでいます。2021年7月、カナダで最高気温が47.5℃を記録し170ヵ所以上もの火災が発生、中国河南省では3日間で1年分の雨量を記録。このまま温暖化対策を実施しなければ、2100年には世界平均気温が最大4.8℃上昇し(パリ協定の目標2℃以下)、日本の真夏日(最高気温30℃以上)の年間日数予測が西日本太平洋側で約141日(現在約73日)に、また、海水面の上昇(約1.1m)で国土の約30%を失うことが予測されています。
温室効果ガスの総排出量に占める二酸化炭素の割合は全体の76%、うち化石燃料の起源が65%です。福島第一原発事故をきっかけに、日本は二酸化炭素を排出する火力発電への依存が進み、世界で5番目の二酸化炭素排出国になりました。
気候変動へのアクション
1日1世帯が排出する二酸化炭素は約11.37kgCO2、体積にするとサッカーボール1137個分になり、その46.7%が電気由来。地球温暖化対策には私たち1人ひとりの行動が重要で、電力会社の切り替えは持続的で簡単にできる気候変動へのアクションです。電力会社を選ぶポイントとして「二酸化炭素を排出しない」「枯渇することのない資源が原料である」「電源構成などの情報開示をしていること」があります。
再エネは太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス発電など自然界に存在するエネルギーのことで、環境の負担が少なく枯渇する心配がありません。2016年4月、電力自由化がスタートし、電力料金の支払い先を選べるようになりました。現在、新電力会社が約700社あり、再エネは約70プラン、大きく4つのプランに分かれ、Aプラン:再エネ100%(太陽光、風力など)、Bプラン:FIT(固定価格買い取り制度)100%(税金による再エネ)、Cプラン:既存再エネ100%(電力会社が保有する大型水力など、国際的には評価されていない)、Dプラン:非再エネ(火力電源・市場調達)です。「みんな電力」ではAとBの再エネプランを主に扱っています。
電気を通じたつながり
みんなで未来を変えていく電力をコンセプトに運営する「みんな電力」は、「再生可能エネルギー利用率がトップクラス」「顔の見える電力」「さまざまなサービス」といった特徴をもち、東京都内の小売り電気事業者の中で再エネ比率68.7%とトップクラスの実績(2018年度)があります。「顔の見える電力」は全国の約600ヵ所以上の発電所から生産者を選ぶことができるサービスです。強い思いとこだわりを持つ生産者からの購入を通じて過疎地域の経済活性化、福島復興、耕作放棄地の解消などの課題解決を支援できます。また、個人向けプランでは、選んだ発電所に応援金が支払われる「発電所応援」サービスがあり、「発電所ツアー」では見学会やオンライン上映による事業者と利用者をつなぐ取り組みも行われているということです。そして、2021年10月に「みんなプラン」という個人プランが誕生。大手電力会社より料金が安く、電力市場に左右されない安定した価格を担保し、再エネ100%、原子力や火力に依存していない電気です。
コープ自然派兵庫は姫路・神戸・西宮センターで利用する電気を「みんな電力」に切り替えました。生産者は南あわじ市の「比久尼池水上太陽光発電所」という水上浮体式の発電所です。比久尼池田主(水利組合)が管理する農業用溜池の比久尼池に太陽光パネルを浮かべて発電しています。野菜や米の栽培に使用され、水質への影響がなく、利用することで、生産地応援につながります。
Table Vol.459(2022年3月)より
一部修正