コープ自然派しこく10周年記念事業の一環として、2021年10月10日(日)、コープ自然派しこく徳島センターは杏林予防医学研究所所長・山田豊文さんの講演会を会場&オンラインのハイブリッド開催、病気や感染症に負けない身体づくりについてお話を聴きました。

杏林予防医学研究所所長・山田豊文さん(右)。「細胞環境デザイン学」を提唱し、全国で講演活動を行っています。司会進行を務めたコープ自然派しこく徳島センター・英理事(左)。会場では徳島センターフェスタが開催され、コープ自然派商品の販売を行いました。

細胞から健康になる食事

 私たちの体は約60兆個の細胞によって構成されています。細胞は食べたものをエネルギー源として活動し、私たちの体を支えています。

 第二次世界大戦後、日本人の食事が伝統的な和食から高脂肪・高タンパク質の欧米型に変化したことから、生活習慣病などの現代病が増加し、医療費が上がり続けました。

 その原因の1つに、トランス脂肪酸を含んだショートニングやマーガリンなどの油があります。マーガリンは植物油に水素添加することで常温でも固まる性質に変わり、その製造過程でトランス脂肪酸を生成。トランス脂肪酸を体内に取り込むと、分解・代謝に時間がかかり、大量のミネラルやビタミンを消耗して細胞膜に悪影響をおよぼします。また、体内の機能調節役を担うエイコサノイドという物質に異常が現れ、血小板凝集促進、免疫反応抑制、炎症促進などが生じ、肥満、心臓病、糖尿病、がん、精神疾患などのあらゆる難病と関係します。

 2018年、全米でトランス脂肪酸の食品添加禁止が決定しました。韓国では2007年末からトランス脂肪酸含有量の表示の義務化がスタートし、学校給食でトランス脂肪酸をはじめとする油脂類や糖類、食品添加物などの使用を制限。米飯を中心に旬の食材を用い、ソウルの小学校では白米から5分づき米に変更しました。さらにしっかり噛んで食べる教育を行ったところ、噛む回数が17%アップし、便秘が減少、おかずを偏りなく食べるようになったということです。

 「噛む」ことによる効果として、「消化を助け栄養吸収を促進し食物を分解する」「唾液の分泌を促し消化酵素が炭水化物を分解する」「食事で酸性に傾いた口腔内のpHを上げてアルカリを供給する」「唾液によって食物の体積が増えて摂食量が減少する」「冷たい・熱い食べものを適温にして負担を減らす」「脳内の血流が活性化する」などを山田さんはあげます。また、唾液には抗ウイルス活性などの毒消し力があり、タバコのヤニや肉・魚のコゲなど口から入る発がん性物質を唾液に浸漬する実験をしたところ、変異コロニー数が減少したということです。

必須栄養素マグネシウム

 大腸では腸内細菌が食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸という物質をつくり出し、免疫システム機能を調節しています。また、食物繊維を豊富に含む食事は酪酸菌が活動しやすい環境をつり、制御性T細胞(免疫抑制細胞)が過剰な炎症反応を抑えるとのこと。日本の伝統的な穀菜食は食物繊維が豊富ですが、戦後の食生活の変化もあり、アレルギー・喘息・アトピー性皮膚炎・炎症性腸炎・炎症に起因するがんの発症の一因は酪酸菌不足と考えられます。

 マグネシウムとカルシウムは互いに重要な関係にあり、マグネシウム摂取量が少ないとカルシウムが排出され、骨のカルシウムが失われやすくなります。また、細胞成長・細胞分裂・代謝活動にもマグネシウムは不可欠です。マグネシウム1に対してカルシウム2のバランスで摂取することが望ましく、「マグネシウムなくしてカルシウムが正しく働くことはできません。モロヘイヤ、小松菜、水菜、チンゲンサイなどの野菜にはカルシウムが豊富で、カルシウムは野菜から摂取できます。マグネシウムは全粒穀物や緑色葉野菜に多く含まれます。」と山田さん。マグネシウムは生命にとって必要不可欠なミネラルであり、毒性物質の解毒を促進し、重金属の排除を助け、がんを予防し、2型糖尿病、脳卒中・脳梗塞・出血性脳卒中などの循環器疾患の発症リスクが抑えられるとのこと。ストレスによるアドレナリンの分泌で起きる心拍数上昇・血圧上昇・呼吸数増加・血糖上昇・免疫機能低下・筋エネルギー増加にもマグネシウム摂取が不可欠です。

 山田さんは食事などの指導を通じて、多数のアスリートのパフォーマンスを向上・維持させ、競技人生を長く充実したものにしてきました。細胞から健康になる食事として玄米菜食、豆類・ゴマなどの種実類・わかめなどの海藻類・野菜・しいたけなどのキノコ類・イモ類の「マゴワヤサシイ」食事、体の正常な機能を取り戻すために「ファスティング(断食療法)」をすすめています。

Table Vol.454(2021年12月)より
一部修正・加筆