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食と農と環境

「丹波の黒ごま」収穫体験

日本のごまの自給率はわずか0.1%。日本で消費されるごまの99.9%は、アフリカ、中南米、東南アジアなど25カ国以上からの輸入に頼っています(輸入量は約16万トン。そのうち約7割が労働力の安いアフリカからの輸入)。国産ごまは、栽培の大半が手作業なので、高齢化とともに生産量は約50トン程度にまで減少しています。 コープ自然派兵庫は希少な国産ごまを守ろうとトラスト運動に取り組み、9月9日(日)、あいにくの雨のなかで収穫作業と交流会を行いました。

高品質の黒ごま産地

 2004年11月、旧氷上郡6町が丹波市として合併したことを機に、丹波市の特産品をつくりたいとの初代市長の意向を受けて、氷上町の有志が2005年に黒ごまの栽培を始めました。昼夜の寒暖差など好適な気候条件に加え、労力をかけて色や形だけでなく食味が濃厚な黒ごまを収穫、今では丹波市は高品質の黒ごま産地として広く知られるようになっています。

  そして2006年に設立された生産組織を発展的に解消し、2015年、生産者組織「丹波黒ごま生産組合」を新たに設立。「丹波黒ごま生産組合」では栽培暦を作成して統一した栽培管理を徹底、肥料は3種の有機肥料のみを使用し、農薬や化学肥料を使わずに栽培しています。粒が大きく、艶があり、深みのある黒光りしたビロード色の黒ごまは、提携する大阪・天満のごまの老舗・和田萬から世界最高レベルの品質とも評されるほど。2016年には「丹波黒ゴマ」を使った和洋スイーツなどの商品開発にも挑戦しています。「2018年度の目標は栽培面積7.5ha、出荷量5t以上(昨年は4.5t)を目ざしています。2014年には丹波市を集中豪雨が襲い、出荷量の激減によって生産意欲が低下しました。その後、出荷量は増えていますが、まだまだ需要量に応える出荷量には至っていません。生産組合では、黒ごまの栽培面積を拡大するために、手作業から機械化、省力化を図るため、畝を立て、種を落としてマルチ被覆する3作業を同時に行う機械の導入、手刈りからバインダーによる機械収穫などにも取り組んでいます」と芦田組合長は話します。

丹波の黒ごまについて歴史や現状を説明する「丹波黒ごま生産組合」・芦田組合長。
和田萬の和田社長も参加。和田萬は1883年創業、2001年からは国産ごまプロジェクトを始めました。
交流会の進行を務めた担当の大森常任理事。午後からの大雨予報に備えて午前中に作業を終えました。
コープ自然派兵庫・前田専務理事が大阪北部地震・豪雨被害義援金を芦田組合長に渡しました。

国産ごまを守るために

徳田さんが収穫作業について説明。まず、大きな葉を取ってから刈り取ります。

 当日は、「丹波黒ごま生産組合」副会長・徳田さんの圃場で収穫体験。今年は根切り虫の被害で3回も種をまき直さなければならなかったとのことです。豪雨、干ばつ、台風の被害を次々に受けて、いつもなら背丈ほどもあるのに今年は腰丈ほど。まず、収穫しやすいよう大きな葉を取り、1本1本丁寧に刈り取っていきます。そして、束結い(束ねてロープで結ぶこと)、株切り(茎を切り落としてそろえる)をして、自然乾燥と実取りをするために農業倉庫につるします。しかし、午後から大雨が予想され、収穫作業のごく一部だけの体験になりました。

1本ずつ丁寧に収穫。ごま栽培の大半は手作業で行います。

 おいしい有機ごまを食べたい、希少な国産ごまを守りたいとの思いで始まったコープ自然派兵庫のトラスト活動は今年で3年目を迎え、毎年、虫取りや花見、収穫などを体験しています。

 収穫作業後はコープ自然派の食材を使った豚汁とごまかけごはん、デザートは白玉団子にごまをまぶしたごま団子を味わいながら交流、ごまへの熱い思いをそれぞれの立場から語り合いました。「大変な作業に少しでも関わることで、ごまへの愛着が湧いてきます」「昨年に続いて家族で参加、今年は下の子もお手伝いできるようになりました」などと話す参加者は午後からの大雨を心配しながら家路を急ぎました。

Table Vol.378(2018年11月)より一部編集

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