2021年9月2日(木)、北海道有機農業推進協議会は生産者向けオンライン講習会を開催。有機小麦の栽培技術や農薬の問題について学びました。本ページでは、営農企画(いましろオーガニックファーム)・今城正春さんと北海道農業研究センター・池田成志さんの講演内容を報告します。

国産有機小麦1000t

 北海道有機農業推進協議会は、国産オーガニックを拡げるために営農企画とコープ自然派が農水省オーガニックビジネス実践拠点づくり事業を活用して立ち上げました。国産有機小麦1000トンの生産と新たな市場創出を目標に、生産・加工・販売のネットワークづくりに取り組んでいます。

 今城さんは北海道旭川市に隣接した比布(ピップ)町で大規模農業を営んでいます。約200haの畑では、有機認証農地100haに有機小麦187トン、有機大豆120トン、有機なたね45トン、もち麦15トン、慣行栽培農地100haに大豆55トン、そば49トン、だったんそば9トンなどを栽培。今城さんは「自分でつくったものは自分で売る」を経営の基本に、栽培から加工、販売までのすべてを自社で行っています。有機資材は高価ですが、今城さんは「農産物の生産」「有機肥料の製造」「農産物の調整施設」を有機農業の経営の柱に利益を創出。堆肥製造センター、微生物培養施設、農作物乾燥調整施設、農産物定温倉庫を自社で運用し、堆肥製造センターでは近隣町村から出る有機廃棄物(きのこの廃菌床・鶏糞・籾殻)を資源化して年間4000トン〜5000トンの堆肥づくりを行っています。微生物培養施設ではEM菌・光合成細菌・籾酢液を製造、資材を自分でつくることで慣行栽培よりコストを削減。農産物乾燥調整施設は自社の収穫物だけでなく、外部からの委託(大豆3万5000俵)による収入が高く、総合的に利益が得られる仕組みをつくっています。農産物定温倉庫は収穫物保存のため室内の温度を一定に保つ倉庫で、年間を通じて加工品の製造をするために導入しました。また、大型コンバインの導入で、コンバインのオペレーター、収穫物を運ぶ人、施設で機械操作をする人の3名で、1日に小麦畑10ha〜12haの収穫を可能にしています。

北海道有機農業推進協議会の会長を務める「営農企画(いましろオーガニックファーム)」・今城正春さん。

天敵農法・微生物で対策

 除草剤グリホサートは赤カビ病の発生と土壌の病原菌を増やします。赤カビ病・除草剤グリホサートについて、微生物研究に携わる池田さんにお話を聴きしました。

 農薬・化学肥料の使用は微生物の機能や有機物の効果を悪化させ、除草剤は植物を枯らすだけでなく、昆虫や微生物なども殺します。そして、益虫、天敵も含めた生物が畑からいなくなるため、病虫害が広がりやすくなるということです。なかでも、グリホサートは微生物を減らすため、被害がひどい畑は2~3年間のグリホサートの使用中止を池田さんはすすめます。

 小麦栽培農家にとって赤カビ病は深刻です。赤カビ病は窒素分が多い肥料を使うと発生しやすく、気象条件の影響を強く受けます。赤カビ病が発生しにくい土壌は微生物に多様性があるのが特徴で、微生物を守るためには、耕起を最小限に抑え、被害にはマメ科とイネ科の混作による緑肥が有効です。

 栽培管理や土づくりで主な害虫をおさえることは難しく、天敵を使った農法が有効です。天敵農法は「除草剤を使わない」「畑の周囲に花が咲く草木を栽培する」「天敵生物が定着し繁殖するための場所を畑につくる」。農作物の間に天敵生物のエサになるキク科、アブラナ科、マメ科、クローバー、ハーブ類、柳、白樺などを開花時期によって組み合わせて植えます。また、収穫後の保管状態が悪いと病虫害が発生することがあり、微生物の力を過信しすぎないよう注意が必要だということです。

「有機栽培における病虫害防除・農業微生物研究の国内外の現状」について話す北海道農業研究センター・池田成志さん。

 

Table Vol.451(2021年10月)より
一部修正・加筆