コープ自然派では、各地で「田んぼの生きもの調査」に取り組んでいます。2019年6月30日(日)、豊岡市の「コウノトリ育むお米」の田んぼでは、約100名の組合員家族が「生きもの調査」を行いました(コープ自然派兵庫&NPO自然派食育・きちんときほん共催)。
コウノトリの郷づくりへ
かつて全国各地で姿を見ることができたコウノトリは、環境破壊や農薬の大量使用などによって1971年には日本の空から姿を消してしまいました。最後の生息地となった兵庫県豊岡市では1965年から人工飼育を開始、40年間に及ぶ苦難の日々を経て2005年にコウノトリを放鳥するなど、野生復帰をすすめています。
豊岡では、生産者・JA・行政などが一体となってコウノトリも棲める環境づくりを目ざしてさまざまな取り組みを行っています。その1つが「コウノトリ育む農法」です。「コウノトリ育む農法」とは、できる限り農薬や化学肥料を使わずにお米を栽培し、冬にも田んぼに水を張る「冬期湛水」や田植え1ヵ月前に水を張る「早期湛水」などを採用した農法です。このような取り組みによって田んぼや周辺の水路にはさまざまな生きものたちが棲息し、生きものたちの力を借りて安全でおいしいお米を収穫できるようになりました。
多様な生物たちが棲息
コープ自然派は豊岡市やJAたじまなどの取り組みに共感し、当初から「コウノトリ育むお米」を買い支えてきました。また、2006年から毎年豊岡市で「田んぼの生きもの調査」を行っています。今年も田んぼやその周辺でたくさんの生きものたちと出会い、大人も子どもも夢中になりました。土の中にはイトミミズやユスリカなど、水の中にはタイコウチ、ヒメアメンボ、コオイムシ、ホウネンエビ、ドジョウ、ゲンゴロウ、カワニナなど、畦にはトノサマガエル、アマガエル、コオロギ、ショウリョウバッタなど、そして、ときおり大空をコウノトリが旋回し、キアゲハ、ハグロトンボ、トビ、コサギ、ツバメなどが飛び交っていました。
昼食後は生きものたちの特徴や生態などについて、豊岡市コウノトリ共生課・宮垣さんと全農・山崎さんが解説。イトミミズは頭を下にして土の中に棲息し、土と一緒に田んぼの有機物を食べて有機物を分解、イトミミズが増えると田んぼには「トロトロ層」と呼ばれる土が形成され、抑草効果を発揮します。「赤とんぼのヤゴの99%は田んぼで生まれますが、田んぼが減少するにつれて赤とんぼも減少しました、みんながごはんをしっかり食べることで田んぼが増え、赤とんぼも増えます」と山崎さん。そして、「生きものたちは食べたり食べられたりの世界。自分が一生懸命生きていることが他の生きものたちのためになり生態系を保ちます。農家の人たちのお米づくりにはたくさんの生きものたちの力を借りているので、ときには生きものたちにも目を向けてください」と宮垣さん。帰りにはみんなで生きものたちを田んぼに返しました。
Table Vol.397(2019年8月)