就任より丸一年を迎えたコープ自然派おおさか・上野理事長とコープ自然派奈良・上市理事長を紹介します。生協活動に参加したきっかけや活動を通して学び気づいたことなどを話してもらいました。
有意義で刺激的な出会い
上野理事長が組合員活動を始めたのはブロック運営委員会(地域の組合員活動)主催のスイーツバイキングに参加したことがきっかけでした。運営委員として活動を始め、やがて委員長として他の地域の委員が集う会議に出席するなど、地域限定で始まった活動が大きく広がります。
2011年、理事に就任、宿泊を伴う生産者訪問も積極的に参加し、各生協の理事との交流や連合会の会議など、立場や世代を超えた人たちとの出会いが増えていきました。「初めての組合員活動は、次男(当時2歳)をイベント参加者のための一時保育に預けて気分転換に参加し、とても楽しかったことを覚えています。お誘いを受け続けていたら、いつのまにかここまで来ていました」と上野理事長は笑います。
2015年、常任理事に就任、それまでの学びながら自分の役割をこなすという受け身の活動から、リーダーシップが求められる立場へと変化します。
理事長に就任し、現在、コロナ禍で刻々と変化する社会状況の中、組合員活動を進めていく最善の方法は何か、判断を迫られる場面に日々直面しているとのこと。2月末に予定していた「わくわくkatudo発表会」は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止に。また、全国一斉休校要請や緊急事態宣言発令前で理事会の中でも意見が分かれることもあり、最終的に理事長に判断が委ねられ、そのプレッシャーにとまどったということです。
「以前のママ友との会話は美容やショッピング、夫の悪口がメインで、一体何のための時間なのかと疑問に感じながらお付き合いしていました。コープ自然派で活動を始め、今までの自分とまったく違うことを考え、目的を持って集まり、話し合う人たちとの出会いが新鮮でした。みなさん、知識が豊富で思いが強いため厳しい意見が出ることもありますが、刺激的で面白いと思うことの方が大きかったです。コロナ禍、多くの人が立ち止まり、違う視点で世の中を見始めました。種苗法や遺伝子組み換え食品、ゲノム編集食品問題についてSNSなどを通じて関心が高まりつつあります。政治や社会の流れが確実に変化し、コープ自然派で取り組んできた活動が正しかったと確信しています」と上野理事長は話しました。
民主主義を進め日本一に
全国をママチャリで旅しながら食や原発、お金と環境、平和をテーマに紙芝居をする「AKOちゃん」との出会いをきっかけに環境問題に関心をもつようになったと言う上市理事長。AKOちゃんのメッセージ「世の中はお金で回っている。お金の流れを追いかければ世の中がわかる」は上市理事長の活動に多大な影響を与え、ドキュメンタリー映画「六ヶ所村ラプソディー」の自主上映会の開催、環境問題をテーマに活動するNPO法人への所属などにつながりました。
2011年、コープ自然派奈良の中期計画策定会議に参加し、「コープ自然派の取り組みから『食と環境はつながっている』ということに気づき、もっと知りたい学びたいという気持ちが強くなりました」と上市理事長はふりかえります。
2012年、理事活動がスタート。それまであまり食に関心がなかった自分だからこそ敷居の低い学習会ができるのではとさまざまなイベントを企画。なかでも、機関紙やWEBでの情報発信を行うビジョン広報の取り組みに力を入れてきました。ホームページやSNSを活用して生協外へ幅広く発信すること、デザイナー(Design椿さん)と協力して機関紙を楽しく読みやすい紙面にすることなどに挑戦しています。
また、各生協の憲法に関する活動の情報を共有する「憲法連絡会」の代表を務め、政治的課題に対してもアクションしていけるよう活動を進めています。
理事長に就任後、生協という枠を超えて「コープ自然派を日本一の組織にしたい」と考えたという上市理事長。「供給高日本一」のような目に見えるものではなく、組合員や生協で働く一人ひとりが「自分にとって日本一」と思える組織にしたい。そのために、自分の意見が反映され、活動しやすく、働きやすい環境づくり、理念に沿った言動一致の組織づくりを目ざしたいと話します。「生協は民主主義の学校と言われますが、実際に民主的に運営できているか私たち理事の責任は重大です。より一層、民主的な運営を進め、組合員の声をしっかり聞くことが大きな課題です」と上市理事長は話しました。
Table Vol.419(2020年7月)