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くらしと社会

持続可能な社会をめざして

自然の住まい協議会では、次世代への継承を目的に学習会を開催、2021年9月8日(水)、第3回学習会では、自然の住まい協議会・大川智恵子代表(コープ自然派事業連合元理事長)に設立のきっかけやコープ自然派とのかかわり、今後への展望について聴きました。

※イメージ

川上と川下の熱い連携

 2005年、コープ自然派事業連合、NPO里山の風景をつくる会、NPO国産材住宅推進協会によって「自然の住まい協議会」が設立されました。きっかけは吉野川の環境を守る運動に端を発しています。

 コープ自然派徳島(現コープ自然派しこく・徳島センター)では食の安全を守るには水の安全が不可欠だと吉野川の環境を守る運動に取り組みました。吉野川は高知県と徳島県を流れる一級河川で、日本三大暴れ川の1つに数えられ、「四国三郎」の異名をもちます。当時のコープ自然派徳島は「石けん派生協」とも呼ばれ、合成洗剤を川に流さないために廃油を回収し、独自プラントで石けんをつくりました。そして、吉野川可動堰化計画が持ち上がったときには組合員が中心となって反対運動を展開、2000年、住民投票勝利によって可動堰化計画は断念されました。

 また、吉野川源流域の環境を守る運動にも取り組み、源流域の生産者と下流域の消費者が連携して農薬を使用しない「源流米」の産直が行われました。「源流米」を栽培する棚田の水は原生林から流れ出す水を引き、そのまま飲めるくらい澄んだ水です。棚田で行われる「田んぼの生きもの調査」や稲刈りには多くの組合員ファミリーが参加、間伐材の伐採ツアーや交流会も毎年、開催されています(現在はコロナ禍で中止)。

高知県と協働で森づくり

 「自然の住まい協議会」設立総会はドーンセンター(大阪)で行われ、嶺北木材・故田岡秀昭代表やNPO国産材住宅推進協会・北山康子代表の講演のほかコンサートも行われました。また、当日、高知県土佐町とコープ自然派事業連合は環境共同宣言を行い、コープ自然派事業連合・大川元理事長と土佐町・西村卓士前町長のツーショット写真が新聞で大きく取り上げられました。

 2007年、高知県とコープ自然派事業連合は「協働の森づくりパートナー協定」締結。これはCO2削減の取り組みの一環で、当時の橋本大二郎知事は全国に先駆けて森林税を県民に課し、県外の企業には「協働の森づくり」を呼びかけました。コープ自然派事業連合は企業としては11番目、生協としては初めて協定を結び、土佐町下地蔵寺部落で20haの「協働の森」を得て、現在に至っています。

 また、同年、橋本前知事の働きかけで高知県梼原町で「環境会議」を開催、町の面積の90%以上が山林の梼原町は地元の木を使った町営施設や風力発電、太陽光発電などで知られています。

協同組合の思想を基本に

 「自然の住まい協議会」では、山と町を結ぶさまざまなイベントを開催。四国・関西で梼原町・中越前町長や建築家を招いたシンポジウム、住宅見学会、土佐町では伐採ツアーやツリーハウスづくりなどが盛んに行われました。東日本大震災後は、養殖漁場を守るには上流から下流までの環境を良くしなければならないと宮城県で植林活動を始めた畠山重篤さん(牡蠣養殖業家・エッセイスト)を招いた講演会も。畠山さんは著書「森は海の恋人」を著し、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で主人公の祖父のモデルとなっています。

 2016年、「協同組合において共通の利益を形にするという思想と実践」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。「特にコロナ禍の今、国内外の経済学者や識者が成長の限界や資本主義(行き過ぎたグローバル経済)の終焉すら語っています。社会主義でもなく、資本主義でもなく、協同組合経済と言われる互助経済のしくみとして協同組合はますます重要となってくるのではないでしょうか」と大川さん。生活協同組合の祖である賀川豊彦は「友愛・互助・平和」を掲げ、「一人ひとりが参加し、一人も取りこぼさない」社会を目ざして闘いました。「この思想を基本に小さな循環型社会の事例をあちこちでつくり、JAなどとも連携して持続可能な社会をつくっていきましょう。若い世代の組合員に大いに期待します」と大川さんは話しました。

パワーポイントを使って、住まい協議会のこれまでを振り返る「自然の住まい協議会」・大川代表。コープ自然派事業連合理事長として高知県を度々訪ねました。

Table Vol.450(2021年10月)より
一部修正・加筆

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