アニマルウェルフェア対応の革製品が誕生しました。2021年7月15日(木)、コープ自然派事業連合商品委員会は自然豚の生産者「七星食品」美波ファーム(徳島県海部郡)を訪問、自然豚の皮を使った新商品のおひろめ会を行いました。
幸せな豚へのこだわり
アニマルウェルフェアとは、家畜などの動物が誕生から死を迎えるまでの間を、ストレスなく健康的な生活が送れるよう飼育するという考え方です。
昨年、七星食品はアニマルウェルフェアに配慮した豚舎を新設し、最先端システムを備えた農場で自然豚の肥育が始まりました。自然豚は約30kgから120kgまで成長する約4ヵ月間を、美波ファームの10棟ある肥育舎で過ごします。1頭あたり1.5㎡~2㎡のスペース(EU0.65㎡~1㎡以上、米国0.74㎡以上をアニマルウェルフェア基準とする)がとられた豚舎は、おがくず・堆肥・もみ殻を好気性菌で発酵・滅菌した厚さ60㎝のバイオベッドを床に敷き詰め、ルーティング(鼻先で土や藁などを掘り返す行動)や土を掘り起こして暖をとるなど豚の行動欲求に対応。風通しの良い開放型豚舎はストレスを最小限に抑え、本来の生態・欲求・行動を尊重した飼育管理に努めています。現在、約4000頭の仔豚がゆったり眠っていて、時折ちょこちょこ歩く様子も見られました。エサには飼料メーカーとともに研究し遺伝子組み換えでないトウモロコシや麦、西日本の産地で収穫された飼料米5%を配合。飼料米は消化吸収が良くなるよう砕いて加熱処理をするなどの工夫がされています。
革製品の工程を知る
人と環境にやさしいこだわり雑貨品を取り扱う生活アートクラブは、アニマルウェルフェアで飼育された自然豚の皮を利用して革製品を企画。化学物質クロム不使用、植物性タンニンで鞣し(なめし)ました。
動物の皮は柔軟性があり丈夫ですが、そのままだと腐敗し、乾燥して固くなるため、鞣しという皮を柔らかくする加工技術を経て革になります。鞣しには「クロム鞣し」と「タンニン鞣し」があり、クロム鞣しは100年ほど前にドイツで開発されたクロム鉱石を利用する技術です。安価で大量生産できるため、多くの革製品がクロム鞣しでつくられています。しかし、クロムを焼却する際の大気汚染や排水による環境汚染、また工場で働く人たちの健康被害などが問題になっています。タンニン鞣しはミモザの木から抽出したタンニンを鞣し剤とするため、環境や人にやさしいのが特徴です。
生活アートクラブがオリジナルデザインした自信作は、財布、キーホルダー、ストラップ、バッグなど全部で7アイテム。ブラック・レザーにつや消しゴールドの金具がシックでエレガント、かつ丸みを帯びたシンプルなデザインはカジュアルにも使えます。革をカットした裁断面にはコバ塗り仕上げ(磨いてニスを塗る技術)を施し、美しく長持ちするよう仕上げました。オリジナルロゴ・金字の「WELFARE VEGETABLE TANNED」には、アニマルウェルフェアと植物タンニンを使用した環境重視のメッセージが込められています。
Table Vol.447(2021年9月)より
一部修正・加筆