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くらしと社会

フェイクニュースとメディアリテラシー

コープ自然派おおさか(和歌山ブロック主催)はメディアリテラシー(情報識別能力)についてオンライン学習会を開催、環境活動家・谷口貴久さんにメディア情報を見極める方法について聴きました。

人の欲求を刺激し説得

メディアとは新聞・テレビなどのマスメディアに限らず、SNSや街角の広告など広範囲の媒体を含みます。日本人がメディアに触れる時間は1日8時間と言われ、日中活動している時間の半分を占めることになります。メディアは私たちを説得するために、専門家や好感度の高いタレントがアピールしたり、ニーズの階層をツールにした方法などを使います。ニーズの階層とは、人の欲求を「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の階層で理論化したものです。マズローの5段階欲求とも呼ばれ、人は自己実現に向かって絶えず成長する生きもので、1つ下の階層の欲求が満たされないと次の欲求を感じません。最下層の欲求ほど強く感じるため、メディアは生理的欲求を刺激します。食べものがなくなるというニュースが流れると買い占めが起きるのは、この欲求が働いた例です。日本は先進29ヵ国中、メディアリテラシー能力が最も低いとされ、買い占め現象が起こりやすいとのこと。デマ情報を拡散する人には「子ども型」「ヘイト型」「勘違い型」の3タイプがあり、これらの人たちはフェイクニュースを拡げるだけです。

批判的思考と複数の情報

メディアにだまされないために覚えておきたい3つの方法について谷口さんは説明。

最初は信じないスタンスを取る… クリティカル・シンキング(批判的思考)は欧米では重要な能力の1つとされ、信じる行為や人に伝える行為は大きな責任と影響があるため、行動に移す前にプロセスを踏まなくてはなりません。
反対意見を調べる癖を身につける… 一度見ただけ、聞いただけで人に伝えるのは危険な行為です。検索エンジンを使用する際、人は無意識のうちに自分が見たいと思う結果が出るよう検索ワードを入力します。
情報源に関する意識を高める… 以前はテレビ局12チャンネルや新聞大手5紙など限られた数のメディアしかありませんでした。インターネットの普及で個人が情報発信できる時代になり、一個人がつくった情報と専門家やメディアの発信との区別がつきにくくなっています。信頼性が高いメディアかどうか発信元の確認が必要です。

メディアリテラシーには5段階あります。

1つめは複数の情報源で確認し「探る」こと。ドイツの学校では5つ以上の情報源で真偽を確かめるよう教えています。有名な新聞や専門家のレポートなど信頼性の高いメディアを利用し、英語の情報源など新しいメディアにも挑戦しましょう。次は記事が書かれた理由を考え「分析」します。記事が読まれることで誰が得をするか、内容に偏りがないか、客観的視点があるか、情報が書かれた時期はいつかを確認して批判的思考を高めましょう。そして、「考える」ことで自分の意見を明確にして、さまざまな人に自分の意見とメディアの内容を「伝える」、さらに得た知識を使って「動(く)」きます。以上のポイントを踏まえて、フェイクニュースクイズやディベート形式のワークショップを行いました。

気候危機について全国を講演会活動している谷口さんは、世界に比べて日本で環境対策が進まない理由について、経済を優先する日本社会の価値観を指摘します。そして、「コロナ禍、日本の自粛は世界中から奇跡と言われ、日本人は周囲に合わせて行動する珍しい国民性をもちます。最近、環境問題に関心を持つ日本人が増えていると肌で感じます。環境に配慮する人が多数派になれば、全員が従うようになり、日本は変わるでしょう。あと、もう少しです」と谷口さんは話しました。

(左)「絶対に信頼できるメディアは存在しません。多数の媒体から情報を得ることが大切です」と環境活動家・谷口貴久さん。 (右)進行を務めたコープ自然派おおさか和歌山ブロック運営委員・加藤さん。

Table Vol.435(2021年3月)より
一部修正

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