2024年3月9日、コープ自然派奈良(理事会つながる)は、多様な性を考える学習会を開催。自身が性別違和で悩み苦しんだ経験から全国各地で人権講演や企業研修を行う定政輝さん(さだまさ・ひかる)さんと、青木麻綾(あおき・まあや)さんの講演の様子を報告します。
マイノリティ=少数派
「あなたならどちらを選ぶか考えてみてください」定政さんは問いかけます。ドラえもんの道具「どこでもドア」と「タイムマシン」ならどちらがほしいですか?お菓子の「たけのこの里」と「きのこの山」どちらが好きですか?犬と猫はどちらが好き?ラーメンとうどんは?休みの日は外で遊ぶ?家でゆっくりする?……どの質問も正解があるわけではありませんが、選んだ人の数で多数派と少数派に分かれることになります。そして、ほとんどの人はいずれかの質問で少数派を経験することになります。中にはすべての質問で多数派に属する人もいますが、そういう人は全体の中では少数派。「誰もが必ず少数派を経験しますよね」と定政さん。
セクシャルマイノリティとは、性のあり方が少数派に属する人たちの総称。日本では10人に1人の割合で存在しています。
性のあり方は多様
セクシャルマイノリティを表すことばとして、LGBTQがあります。LGBTQとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クエスチョニングの頭文字をとったものです。でも実は性のあり方はこれ以外にもたくさんあり、包括的にSOGIE(ソジー)ということばが使われることもあります。性的指向(Sexual Orientation)、性自認(Gender Identity)、性表現(Gender Expression)の頭文字をとったもので、性の多数派も含む概念です。以下、簡単に説明しますが、これらは「男」と「女」の二択ではなく、グラデーションと様々な組み合わせが存在します。
・性的指向とは、好きになる相手の性のこと
ヘテロセクシャル(異性愛)、レズビアン(女性同性愛)、ゲイ(男性同性愛)、バイセクシャル(両性愛)、アセクシャル(他者に性的欲求や恋愛感情を抱かない)など
・性自認とは、自分がどの性別と感じているか
シスジェンダー(生まれた身体の性と性自認が一致している)、トランスジェンダー(生まれた身体の性と性自認が不一致=性別違和)、Xジェンダー(男性でも女性でもない、またはどちらでもあると感じている)、クエスチョニング(性自認が決まっていない)など
・性表現とは、服装や言葉遣いなど自分を表 現する「自分らしさ」の性のこと
追いつめられるマイノリティ
できることはたくさんあります。まずは知ること。相手を尊重すること。Ally(アライ=支援者)であることを表明すること。困っていることについて一緒に考えたり、同性婚や選択的夫婦別姓などの制度整備を訴えること。「一人ひとりの人権感覚が育てば、誰もが自分らしく生きられる社会が実現すると思っています。ぜひ、いのちを大切に、自分らしく生きられる社会を一緒につくっていきましょう」と定政さんは締めくくりました。
Table Vol.502(2024年6月)