国産小麦を使った自然派Style角食北海道ミルクパン、自然派Style山食コウノトリの未来の焼き立てお届け便が好評です。国産小麦の推進に取り組む株式会社コープブレッドファーム・小泉代表にお話を聴きました。
焼き立てパンを全国展開
焼き立てお届け便は、コープブレッドファーム(神戸市)でつくった冷凍パン生地を会員生協併設のパン工房で焼き上げ、組合員へ届けるというサービスです。現在、本部・神戸セットセンター、コープ自然派しこく・徳島マリンピアセンター、コープ自然派京都で稼働中。早朝に焼いたパンを午前に、午前中に焼いたパンを午後に配送しています。
スーパーマーケットなどに併設された店舗で販売する焼き立てパンは、海外産小麦や食品添加物を使用した商品がほとんどです。米国・カナダでは小麦や大豆の栽培に「プレハーベスト処理」(収穫直前に除草剤を散布)が広く行われ、農林水産省の調査(2013年~2017年)で米国・カナダ産小麦の9割以上から除草剤成分グリホサートが検出されました。また、輸入小麦には輸送中のカビや腐敗を防止するためにポストハーベスト農薬(殺菌剤、防カビ剤)が散布されています。
現在、コープブレッドファームはコープ自然派事業連合100%出資会社ですが、アイチョイス(あいち・ぷちとまと・一宮生協の連合会)など「生協ネットワーク21」(8生協、2事業連合が商品政策や運動で協同)加盟生協や店舗をもつ全国の生協との協同運営を将来的に考えています。無添加パンの焼成は技術を要しますが、長年培ったノウハウを伝え、国産原材料・無添加の冷凍パン生地を届けることで、国産小麦の使用量と栽培面積を増やす計画です。またオーガニックブレッド&アグリLLC(合同会社)が有機JAS認証パン「OBAL」ブランドを展開し、ビオセボン(関西で展開するオーガニックスーパーマーケット)や神戸の一部店舗で販売しています。
貴重な国産小麦の生産者
コープ自然派は「誰もが有機農産物を食べることができる社会へ」との目標を掲げ、国産オーガニックを拡げる活動を進めています。しかし、日本の有機農業の面積は0.2%と世界的に最低レベルで、有機原材料は手に入りにくい状況です。小泉代表はコープ有機・佐伯専務、コープ自然派パン工房・福井工場長などとともに北海道をはじめ全国の生産者を4年間かけて開拓、安心して生産できるよう輪作農産物(大豆・ニンジン・ジャガイモなど)も含めて全量買い取りを基本としています。
北海道で自社農園の収穫物を使用し、栽培から加工、販売まで行う営農企画(いましろオーガニックファーム)(旭川市)から輪作の有機大豆とともに有機小麦80トン(昨年50トン)を購入。持続可能な環境保全型農業の普及に取り組むアグリシステム(帯広市)は国内の有機小麦生産量の約半分(250トン)を確保し、オーガニックパン工房「風土火水」を地元で運営。コープ自然派は有機小麦と「風土火水」の石臼挽き粉による手捏ねパンを取り扱い中です。また、ジャガイモ・カボチャ・大豆など有機JAS認証作物を栽培するオホーツク青空市場(北見市)からはうどん用の有機小麦を仕入れ、有機小麦100%の乾麺「春恋うどん」を開発しています。
「コープ自然派は2024年度を目標に、有機を含む国産小麦1000トンの生産に向けた取り組みを進めます。今後さらに、北海道の小麦生産者との関係をしっかり築いていきます」と小泉代表は話します。
Table Vol.435(2021年3月)より
一部修正・加筆