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生産者訪問・商品学習会

コープ自然派アンバサダーin四国① 生きものに優しい新たな取り組み

2020年9月28日(月)・29日(火)、コープ自然派事業連合・商品委員会は香川県・徳島県の産地見学会を開催、「産地を見て学び、事業の意義を確認する」ことを目的に、七星食品、情熱カンパニー、とくしま有機農業サポートセンターを訪問しました。七星食品は「自然豚」の肥育農場と繁殖農場、加工工場を新設、繁殖農場はアニマルウェルフェアに配慮した最先端システムを備えています。

2018年3月、オープンした七星食品本社・造田PC工場(香川県さぬき市)は、ガラス窓から精肉加工場が見学できます。最新設備機器を整え、オートメーション化をはかりつつ、あえて人的作業を残して社会貢献のために働く環境を整えています。

組合員の願いから誕生

 「自然豚」は、安心して食べられる豚肉を求める組合員の願いから1998年に開発。PHF(収穫後の農産物に使用する殺菌剤・防カビ剤不使用)および非遺伝子組み換えトウモロコシ・大豆油カスを飼料に使用し、肥育期飼料給餌中は抗生物質は投与せず、その他の薬剤を一切与えません。

 初代「自然豚」は愛媛県の契約農家で飼育していましたが、組合員数・供給量の増加に伴い、自社農場で生産を開始。その後、2007年から「食材セット」で「自然豚」を導入、2009年に飼料米の給餌開始(飼料の5~8%配合)、2017年には「お米いちばん豚」の開発、そして、2018年3月、現状の2〜3倍の製造が可能な造田プロセスセンター工場(香川県さぬき市)完成とコープ自然派の商品政策や成長とともに発展。2019年3月、徳島県阿波市の繁殖農場、2020年10月、徳島県海部郡美波町の肥育農場が完成し、年間約2万頭の「自然豚」生産が可能になりました(現在、約8100頭を供給)。

左から、海部さん(生産事業部)、藤本取締役、大井さん(営業事業部)、山花さん(加工事業部)。

豊かな自然環境と広い空間

 アニマルウェルフェアとは、誕生から屠殺までの期間をストレスなく健康的な生活がおくれるよう家畜を飼育するという考え方です。「飢え、渇きおよび栄養不足からの自由」「肉体的苦痛と不快からの自由」「痛み・苦痛・病気からの自由」「通常行動からの自由」「恐怖や苦悩からの自由」とアニマルウェルフェアには5つの自由が定められています。この5つの自由を基本に、「豚の健康状態を観察・記録する」「豚を丁寧に扱う」「良質な飼料や水を与える」「豚舎の清掃・消毒を行い清潔に保つ」「快適な温度を保つ」「飼育スペースの適正な管理・設定」「換気を適切に行う」「有害小動物等の防除・駆除」を七星食品の飼育管理指針としています。

 アニマルウェルフェアに対応した繁殖農場(阿波ファーム)は構想・準備に5年間かけて完成。母豚が妊娠出産するための豚舎では、出産までの期間(約78日〜80日間)をフリーストールの広い空間(1頭あたり2.3㎡)で自由に寝て遊べる環境を整えています(日本の繁殖農場では妊娠ストールと呼ばれる個別の檻が一般的)。また、最新機器の給餌ステーション、ICタグによる給餌管理や個体識別などを行う母体群管理システム(べロスシステム)を導入。食べた餌の量をICタグで個体管理し、必要な量の餌が与えられているため、ストレスや栄養過多に無縁です。出産1週間前になると、コンピュータ管理のもと自動的に誘導されて分娩舎へ移動。出産と授乳を行う分娩用ストールは床面積4.3㎡(一般的には3.6㎡)のスペースが確保され、ストールの横には仔豚用の保温箱を設置し、抵抗力が弱い仔豚の温度管理も万全です。豚は自分の食事が最優先で子育てをしません。そこで、授乳中に母豚の体で仔豚を押しつぶす事故が起きないよう、ストールで仔豚を守ります。また、豚は一度に10頭~20頭を出産しますが、乳首が14個しかないため、生まれたときから仔豚の生存競争が始まります。抵抗力をつけるのに必要な初乳が平等に飲めるよう、2グループに分けて順番に哺乳できるシステムを導入。分娩舎は空調設備と床暖房で寒さに弱い仔豚と妊娠出産中の母豚のために温度対策を徹底しています。親子で約1ヵ月間過ごした後、仔豚が肥育舎に移動するまでの期間、離乳食を食べて過ごす「離乳育成舎」へ移動。繁殖農場と肥育農場を分けて運営するのは伝染病予防のためということです。

母豚が妊娠出産する繁殖農場「阿波ファーム」(徳島県阿波市)は約156,490㎡の敷地に「繁殖・妊娠豚舎」「分娩舎」「離乳育成舎」が建設されています。

 美波ファーム(徳島県海部郡)・肥育舎の1頭あたりのスペースは1.5㎡~2㎡以上です(EU0.65㎡~1㎡以上、米国0.74㎡以上をアニマルウェルフェア基準とする)。肥育農場は開放型豚舎で床におがくず・堆肥・もみ殻を好気性菌で発酵して滅菌したバイオベッドを60㎝の厚さに敷き詰めているため、ルーティング(鼻先で土や藁などを掘り返す行動)や土を掘り起こして暖をとるなど豚の行動欲求に対応。アニマルウェルフェアの考え方を取り入れ、ストレスを最小限に抑え、本来の生態・欲求・行動を尊重した飼育管理に努めています。

「阿波ファーム」から約50km離れた場所にある肥育農場「美波ファーム」(徳島県海部郡)・肥育舎。10棟(肥育舎・仔豚舎)の豚舎で約5000頭が快適に過ごします。
10月末に完成した「美波ファーム」・仔豚舎は仔豚が30㎏に成長するまで徹底した温度管理のもと大切に育てられます。

革新的取組で業界を牽引

 「自然豚」のおいしさは、エサ・豚の品種・飼育方法にあり、中でもエサの配合を飼料メーカーとともに研究し肉質に甘みと旨味とやわらかさを出しています。「自然豚」は市販品に比べて飼育期間が長く、エサを食べる期間が長いことがおいしさの秘訣。母豚は平均3年間に8回出産後、廃豚として食肉になりますが、肉質が固く歯ごたえがあるので一般的にはウインナーなどに利用されます。「自然豚」の母豚は肉質が良いため高級ハムなどに使われ、アニマルウェルフェア対応で良質な皮は、海外の高級ブランドと取り引きされているということです。

 欧州では古代から豚を中心に肉食文化が発展してきました。そのため、家畜から命をいただき感謝する意識が高く、アニマルウェルフェア基準が法制化されています。アニマルウェルフェアの考え方は日本では未だ理解が進んでいませんが、七星食品は10年先を見据えた取り組みで日本の畜産を牽引していきます。

「美波ファーム」の豚たちは人懐っこく、アンバサダーが向けるカメラに寄ってきます。

Table Vol.432(2021年1月)より
一部修正・加筆

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