2019年1月24日(木)、コープ自然派脱原発ネットワークメンバーは、コープ自然派事業連合(神戸市)に設置された放射能検査室を見学、検査の現状を知るとともに、日ごろ感じている疑問や要望を担当者に伝えました。
4検体で検査を実体験
コープ自然派事業連合・放射能検査室では、通常は組合員が口にする状態で食品を検査していますが、今回は特別に市販食品や土壌など4検体の検査をお願いしました。検体は①三重県の園芸用土②国産干しシイタケ③千葉県産イワシ④千葉県松戸市の土の4種類。検査機器はゲルマニウム半導体検出器とシンチレーション式検出器の2種類です。
両検出器を使用し、各30分間検査しました。このうち、イワシはザク切りにした後、さらにフードカッターですり身状にして検出器に収めました。難しい作業ではないのですが、1リットルの容量いっぱいに空気が入らないようしっかり詰めるのは手間がかかり、これを終日行うことは大変だということを実感。検査室では他に生菌検査なども行っています。
検査の結果、千葉県松戸市の土から100bq/㎏を超えるセシウム137が検出されました。他は検出されていません。
担当者に聞く検査の現状
検査終了後、品質管理部・日高マネージャーに検査の現状などを聞きました。現在、スタッフ2名で検査を実施。2018年10月からゲルマニウム半導体検出器を導入することでさらに検査体制が充実しました。ゲルマニウム半導体検出器はシンチレーション式検出器と比べて「分解能」が高く、結果が明確に表示されて誤差も少ないという利点があります。リスクの高い主要生産物(水産品・乳製品・きのこ類など)はゲルマニウム半導体検出器を使用し、のりな
ど計測しにくいものは長時間計測を実施、外部委託検査する商品もあるとのこと。検査件数については、さらに増やしていきたいということでした。
検体は生産者からの提供のほか、コープ自然派でも毎月70~80万円程度を負担し、ゲルマニウム半導体検出器を導入してからは、液体窒素の代金(年40~50万円)も発生しています。また、組合員からの産地の問い合わせに応えるのも大切な業務だと考えているということです。
続いて、鎌田常勤理事にはコープ自然派の活動の歴史について聞きました。前身である共同購入会時代の「安全な食を守る」という理念から始まったロングライフ牛乳反対運動や脱原発運動など社会活動の素地が培われているコープ自然派だからこそ、福島原発事故後、素早く放射能測定が実現し、ゲルマニウム半導体検出器の導入が可能になったということです。
質問と要望を伝える
「放射性ストロンチウム検査のためのカンパ募集記事が掲載されるカタログが事前にわかれば、会員生協の通信でも協力を呼びかけられる。また、カンパ募集は1週のみでなく2〜4週間続けてもらいたい」、「放射能検査のカラーチラシはとてもわかりやすいので全戸配布してほしい」、「検査結果のデータを詳しくは見ないで検査してくれていることで安心感を持っているという組合員が大半ではないか。検査結果の文字が大きくなるなど読みやすくなったので、さらに、用紙を大きくしたり、2色刷りにしたり、検査スタッフのコメントを載せるなどの工夫が必要ではないか」、「「復興応援」企画品もしっかり計測し、放射能不検出の商品が掲載されていることを多くの組合員に知らせたい」、「測定のためとはいえ、膨大な量の検体済み商品が廃棄されるのはとてももったいないし生産者にも申し訳ない。検査後の有効利用法はないだろうか」等の要望が寄せられました。
その他、「最新検査結果を簡単にすばやく探せるようシステム改善を進めてもらいたい」などの要望も伝え、「気になっていることを聞き、検査の現状を知ることができました。コープ自然派の根幹である『情報公開』、組合員の『学んで、選択する』姿勢が毎週配布される1枚の「放射能検査結果報告」に表現されていることを実感しました。今後も議論を重ねていきたいと思います」などとメンバーは話し合いました。
Table Vol.388(2019年3月)