2019年8月20日(火)、コープ自然派兵庫は「神戸製鋼・関西電力石炭火力発電所建設・稼働差止め訴訟」の裁判傍聴会を開催。神戸地方裁判所に石炭火力発電所建設に反対する人たちや組合員などが多数集まりました。
発電所の周辺住民が提訴
10時30分、神戸地方裁判所前にコープ自然派組合員、「神戸の石炭火力発電を考える会」、訴訟サポーターたちが集まり、「神戸製鋼・関西電力石炭火力発電所建設・稼働差止め訴訟」原告団の入廷を迎えます。傍聴者は裁判所建物の入り口で入念な荷物チェックを受けて入館。裁判所の敷地内では撮影・録音は禁止、ロビーでの集会も禁止です。原告弁護団の杉田峻介弁護士から傍聴時の注意や裁判の流れなどについて説明を受け、101号法廷に移動、11時の開廷に備えます。
この訴訟は、神戸製鋼石炭火力発電所による大気汚染物質と二酸化炭素の長期間の排出で生命・身体を害される怖れがあると、新設発電所の建設・稼働・稼働指示の差し止めを求めたもの。2018年9月14日、神戸製鋼・コベルコパワー神戸第二(神戸製鋼の子会社で発電所を建設中)と関西電力を相手取り、2歳~86歳の発電所周辺住民40名が差し止め訴訟を提訴しました。
証拠と法廷での駆け引き
原告と被告は主張や証拠を裁判所に予め書面で提出しますが、今回の裁判で原告が提出した書面は53ページ、口頭だと約4時間かかるため、法廷では要約して説明されました。その内容は石炭火力発電所から放出されるPM2.5とその健康被害、温暖化の問題などについて世界の最先端のデータに基づいたもので、提出書面に付随した証拠書類は950ページにのぼるということです。
今回、コープ自然派から約50名の親子が参加。「裁判所でのやりとりだけでなく、裁判の目的を広く知ってもらうことも大切です。大勢の方の傍聴、将来に影響が及ぶであろう子どもたちの参加は原告団の励みになります」と杉田弁護士は話します。
また、被告側も原告側同様に書面での主張・証拠を提出していますが、裁判中の発言はほとんどありません。法廷ではしゃべらない、目立たない、顔出しを最低限に抑えるため最後に入廷するといった徹底ぶり。それは、傍聴席にいる消費者を前に、企業イメージが悪くなることを避けたいからとのこと。しかし、裁判終了後の別室での話し合いでは、関西電力は「電力を購入しているだけで汚染物質や二酸化炭素を放出していない」、神戸製鋼側は「二酸化炭素の排出量は世界規模で見ればわずかだ」と堂々と主張しているとのこと。大気汚染・地球温暖化のない未来をつくるために、「神戸の石炭火力発電を考える会」は裁判の動向に注目してほしいと訴えました。
Table Vol.402(2019年10月)