エコサート・ジャパン株式会社代表取締役社長の吉澤達雄さん。エコサートはフランス南西部・トゥールーズを本社に26ヵ国にオフィスがあり、130国をサポートしています。

2019年5月31日(金)、2019年度・コープ自然派生産者クラブ学習会が行われました。コープ自然派の事業・組合員活動報告に続いて、今年度は2つのテーマで学習会を開催、全国各地から個人・団体を含めた140の生産者が集まり、講師の話に耳を傾けました。

〈第1分科会〉 世界のオーガニック市場

〈第1分科会〉世界のオーガニック市場 第1分科会は、「世界のオーガニック市場の拡がりと取り組みの意義」をテーマに、吉澤達雄さん(エコサート・ジャパン株式会社代表取締役社長)と加藤里香さん(同、EOS・NOP認定マネージャー)、そして、小泉佳久さん(コープ自然派事業連合顧問)が講演しました。 

数値で見る世界の動向

 世界のオーガニック食品市場(2016年度)は、前年比10%増の約10兆円、過去5年間では40%増と大きく伸長しています。なかでもアメリカは4.9兆円と世界のオーガニック市場の約半分を占め、ドイツ1.2兆円、フランス8400億円、中国7400億円と続きます。さらにカナダ、イタリア、イギリス、スイス、スウェーデン、スペインと続き、北米とヨーロッパで世界市場の90%を占めます。一方、日本は約1800億円程度で世界市場の約1.8%、1人当たりオーガニック食品支出は年間960円(アメリカ約2万円)にとどまっています。

 食品市場全体に占めるオーガニックの割合はアメリカ5.3%、ドイツ5.1%、フランス3.5%、日本0.5%。経済効果からみると、アメリカのオーガニック関連企業ではフルタイム雇用率が大幅に増加し、オーガニック圃場は一般圃場より利益率が35%高いことがわかっています。アメリカでは全世帯の82%がオーガニック製品を購入。オーガニック先進国のドイツでは2016年から2017年で約6%増加、中でもドラッグストアを含めたスーパーは約8.8%売り上げを伸ばしています。

 フランスでは、2022年までに学校給食、病院食、職員食堂など公共の集団食をオーガニックまたは環境に良いという認証付きの食材で50%を占めなければならない(オーガニックは20%以上)という法律を2018年に制定。さらに進んでいるパリ市では2020年までに学校給食の原材料をオーガニックと持続可能な食材を50%にしようという目標を2015年から掲げています。

消費者意識が市場を拡大

 世界的にオーガニック市場が拡がる要因としては、まず消費者の健康志向への高まりが挙げられます。農薬や、家畜への抗生物質・成長ホルモン大量投与、遺伝子組み換え食品などによる健康被害が明らかになり、食の安全と安心への意識が高まっています。また、オーガニック圃場は環境汚染が少なく、オーガニック製品は環境への負荷を低減するとの消費者からの声も大きくなっています。食品スキャンダルを経験した中国では、自国製品への不信感から安全意識が向上したと言えます。一方、日本の消費者は国産への安心感が強く、世界的なオーガニックの流れに遅れているのではないかと吉澤さんは指摘。しかし、オーガニック食品の輸出は好調で、有機茶や有機こんにゃくの輸出は増加し、2020年の東京オリンピックを契機とする市場拡大や企業のSDGsへの取り組みによる意識の向上が期待されています。

各国の認証制度の比較

エコサート・ジャパンの加藤里香さん(EOS・NOP認定マネージャー) エコサート・ジャパンは、食品以外にも化粧品、テキスタイルの認証も行っています。

 オーガニック認証制度については加藤さんが説明。日本では有機農産物と有機農産加工食品はJAS規格によって認定され、有機JASマークを表示することが義務付けられています。日本のJAS規格は食品限定ですが、海外ではそれ以外でも認証対象となり、アメリカのNOP認証(USDAマーク)は、ペットフード、化粧品、コットンなど、EU連合のEU認証では農産物、加工食品、畜産物のほか、酒類、蜂蜜、水産物、酵母、種子も認定対象となっています。

 その他、各国の違いとしては、JAS規格ではサンプリングは定められていませんが、EUとアメリカでは認定機関からサンプリングが義務付けられ、JAS規格では講習が義務付けられています。さらに、海外ではほとんど製品認証ですが、日本はシステム認証で工場などのシステム全体を認定するという考え方です。

 「日本製品は品質が高いので、オーガニックという要素が加わることで世界のどこにも負けない製品になるのではないでしょうか」と加藤さんは話しました。

コープ自然派の取り組み

コープ自然派事業連合顧問・小泉佳久さん(前理事長)はアメリカ研修での報告とコープ自然派のオーガニックの取り組みについて話しました

 続いて、小泉顧問はアメリカ研修で学んだことをコープ自然派のオーガニック戦略にどのように生かすかという視点から話しました。アメリカ研修では12ヵ所のスーパーを訪ね、野菜には有機認証マークのほか、グルテンフリーやNON−GMO(遺伝子組み換えでない)などが細かく表示されていました。牛乳・乳製品もオーガニック製品は豊富で、陳列にお金をかけない分、価格を下げるスーパーもありました。品揃えや陳列など学ぶべきことも多く、コンビニにもオーガニックコーナーがあり、全米で流通している野菜・果物の15%はオーガニック(2016年)、全世帯の82%でオーガニック製品を購入していることを実感したということです。

 また、2002年からは、オーガニック商品についての表示は、100%オーガニック原料からなる製品、95%から99.9%のオーガニック原料からなる製品、75%~94.9%のオーガニック原料からなる製品が明確に区別されています。

 一方、日本で生産されているJAS有機農産物シェアは0.2%(2018年)、日本の有機食品規模は約1300億円で米国の4兆7000億円、EUの3兆7000億円と比べるときわめて小さいのが現状です。日本では有機農産物の販売先が近くになかったり、有機農産物および有機食品が高価格であることがオーガニック市場の拡大を妨げています。

 コープ自然派では比較的低価格のJAS有機農産物&食品を積極的に開発。2017年8月、コープ有機とコープ自然派パン工房で国産オーガニック小麦300トンプロジェクトを設立、北海道を中心に情報収集や交渉を重ね、3年後の具体化を目ざしています。有機野菜・果物に関してもコープ有機を中心に熊本県、愛知県、長野県、北海道などで開発中です。

Table Vol.398(2019年8月)