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くらしと社会

戦争への道を止めなければ

2019年3月30日(土)、芦屋9条の会とコープ自然派兵庫(ビジョン平和)共催による「沖縄スパイ戦史」上映会&三上智恵監督講演会が行われました。「沖縄スパイ戦史」は2018年制作のドキュメンタリー映画で全国各地で上映され、大きな反響を呼んでいます。

三上智恵さんは大学卒業後、毎日放送でアナウンサ ーとして活躍。1996年、琉球朝日放送開局とともに 沖縄に移り住み、現在はフリーランスで沖縄戦や基地問題を中心とした映像を制作。

少年たちによる「秘密戦」

 「沖縄スパイ戦史」は、「標的の村」「戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)」「標的の島風(かじ)かたか」など沖縄の闘いを描き続ける三上智恵さん(映画監督・ジャーナリスト)と学生時代から八重山諸島における戦争被害の取材を続けてきた大矢英代さん(ジャーナリスト)の共同制作です。

 第二次世界大戦末期、米軍が沖縄に上陸し、民間人を含む20万人以上が死亡しました。1944年夏、スパイ教育を受けた「陸軍中野学校」出身の青年将校42名がある者は偽名を使い、ある者は学校教員として離島に配置されるなど、それぞれ身分を隠して沖縄各地に潜り込みました。そして、そのうち15名が少年兵たちを「護郷隊(ごきょうたい)」として組織し、「秘密戦」のスキルを身につけさせました。少年たちはほとんど15 ~16歳、なかにはもっと幼い子もいたということです。彼らは山野に潜み、米軍を奇襲するというゲリラ戦を展開。映画では戦後70年以上語られることのなかったこの「秘密戦」が明らかになります。

 軍隊が上陸すると住民の中でも「秘密戦」は行われ、住民同士が互いに監視し合います。「スパイリスト」なるものも存在し、スパイだと疑われた何百人もが殺されました。「戦争とは敵を殺すだけではなく、味方同士で殺し合うこともあります。暴力社会に取り込まれた人間集団の末路がこの映画のテーマです」と三上監督は話します。

日本全土が危険な状態に

 映画上映の前後に行われた三上智恵監督の講演は、南西諸島(九州南端から台湾へ連なる列島)で進められている自衛隊ミサイル部隊配備の近況報告から始まりました。2015年、政府は唐突に宮古島と石垣島に自衛隊ミサイル部隊を配備すると発表、2019年、3月26日、宮古島駐屯地に警備隊380人が配備され、2019年度末には地対艦・地対空ミサイル部隊が順次配備されようとしています。

 三上監督は映画制作の意図として、沖縄が大変だから沖縄のことをもっと考えてほしい、沖縄の基地負担が大きいから本土も分け合ってほしいというような訴えではなく、もはや日本全土の問題であり、日本全土で民主主義が破壊されようとしている現状に警鐘を鳴らしたいのだと話します。「沖縄で暮らしているからわかるのですが、今、ゆるやかなカーブを曲がったところに戦争が見えています。私たちの国のリーダーをそちらに行かせてはならない。私たち一人ひとりが踏ん張って流れに逆らわなければならない。政権の動向を傍観しているわけにはいかないのです」と強く訴えました。

Table Vol.393(2019年6月)

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