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生産者訪問・商品学習会

新鮮な海のめぐみをお届け~北海道産地ツアー④~

丸高水産は札幌市西区、新千歳空港から車で約1時間の距離にあります。

北海道産地ツアー1日目に「自然派Style北海道秋鮭スモークサーモン」でおなじみの丸高水産(札幌市)を見学、北海道の新鮮な魚介を加工する優れた技術やこだわりをうかがいました。

こだわりの原料と製法

1961年創業の丸高水産は北海道で水産物の委託販売を始め、日本全域に販路を拡げてきました。1973年、現相談役が英国からスモークサーモンマシン6台を導入し、水産加工品の製造を開始。「自然派Style北海道秋鮭スモークサーモン」に使用する鮭は、水揚げ当日に水槽に入れたまま工場に運び、その日のうちに下処理します。製造は熟練の職人が手作業で行い、身を傷つけないよう手早くかつ丁寧に骨を抜き、魚の鮮度や脂ののり具合、大きさなど個体に合わせて最適な塩分量や時間を調整し、塩分濃度が均一になるようふり塩法で塩漬けします。そして、スモークハウスと呼ばれる機材の中で約24時間かけてじっくりスモーク。スモークチップには北海道産のナラ材を使用(カナダ産の桜のチップが使われているものが多い)しています。9~10月に襟裳岬で水揚げされた秋鮭のみ使い、オール北海道の原材料で仕上げるこだわりです。

さらにスモークサーモンやスモークホタテを使用したマリネも開発。一般的にマリネには刺し身をドレッシングに漬け込んだものが使われますが、スモークしてうま味が凝縮しているためさらにおいしくなるとのこと。マリネに使われる玉ねぎやニンジンなどは野菜を丸ごと入荷し、工場内で洗ってカット。おせちセットなどで企画される「スモークサーモンマリネ」は、コープ自然派用に化学調味料無添加でつくられています。

また、北海道産の鮮魚を使用したおさしみ加工には「3Dフリーザー」という最新の冷凍機器を使用して冷凍。マイナス360度で中心部から均一に凍結でき、繊維が壊れないため解凍後ドリップが出ません。魚介類は水分量が多く、特に型崩れしやすいウニはミョウバンが添加物として使われますが、この冷凍機器を使用することでミョウバン無添加のウニが製造できます。生食用のエビは解凍後も殻が透明で、プロでも見分けがつかないということです。

工場内には魚を3枚におろす機械や鱗を取る機械「目からウロコ」などの設備が充実。写真は冷凍されたスモークサーモンをスライスしているところです。

北海道の深刻な漁業状況

丸高水産(株)代表取締役社長・田名部さん。水産物の減少で中央卸売市場では商品を取り合うような状況だということです。

工場見学では、時計やアクセサリーを外し、白衣やマスク、長靴などを身に着け、工場入り口では手洗い、消毒、エアシャワーなどを入念に行います。靴底は各部屋に設置された消毒液にひたし、部屋を移動する度に消毒。原材料は一切外気に触れることなくトラックから冷蔵庫に直接運び込まれます。

見学後は田名部社長のお話を聴きました。北海道の水産物の水揚げは30年前まで年間300万トンでしたが、減少し続けて現在は85 万トン。100万トンの漁獲量があったスケソウダラとイワシは、現在は12万トンに減少。鮭は国の政策で漁獲量制限され、川に戻った鮭の卵を孵化させて稚魚を川に放す孵化事業により鮭の数量を保っています。しかし、近年の地球温暖化の影響で放した稚魚が死滅し、今年の漁獲高は予想より約1万トン減少し、約6万トンでした。また、放された鮭が川に戻ってくるまでの平均年月は3.5年ですが、今年は2.6年と例年より短いため十分に成長していません。このように、北海道の水産業は非常に厳しい状況にあるとのこと。試食では、「3Dフリーザー」で凍結した刺し身や「イワシスモーク」などをいただき、その技術の高さを実感しました。

Table Vol.386(2019年2月)

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