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生産者訪問・商品学習会

自然派Styleを支える生産者に会いに行こうin関東

2024年10月17日~18日、連合商品委員会は自然派Styleの商品をつくる関東の4つの生産者を訪問しました。それぞれの生産者の魅力を伝えます。

鎌倉ハムクラウン商会にて

太陽油脂

太陽油脂について
 太陽油脂株式会社は「太陽の恵み、人にやさしく地球にやさしく」をモットーに、神奈川県横浜市で食用加工油脂、飼料、せっけん・化粧品事業を行っています。1919年、東京搾油株式会社としてスタートし、1939年、海軍軍需部の指定工場として海水石けんの生産を開始。戦後、石けん・シャンプーの商標をラテン語で「平和」を意味する「パックス」としました。

 コープ自然派ではパックスナチュロン、パックスオリー、パックスベビーなどを取り扱い、2020年には自然派
Style商品として「自然派Styleボディーソープ」が登場しました。家族みんなで毎日使える商品をつくりたいという連合商品委員会と太陽油脂の想いが形になった商品です。きめ細かい泡のボディーソープはリラックス効果の高いラベンダーの香りで、暮らしに馴染むボトルデザインです。

話を聞かせてくれた平子健太さん

人にも環境にもやさしい石けん
 1970年代、洗濯機が普及し、合成洗剤などによる水質汚染が深刻化しました。太陽油脂では地域の生協や市民団体とともに、水質汚染を食い止めるために環境にやさしい石けんを積極的にアピール。太陽油脂の石けんは、持続可能なくらしを守るために100%自然由来の成分にこだわっています。植物油脂からできたせっけんは海や川に流れても分解されて自然に還り、生態系への影響が少ない特徴があります。安価な化学物質を使えば製造時間は短縮でき、人の手も介さず製造できますが、商品を使う人、つくる人、環境への影響を考え、機械だけでなく人の手と目で確認しながら安全な原料で時間をかけて製造しています。

工場見学の様子

 パックスオリーの本体容器はバイオプラスチックです。プラスチック削減にも取り組み、製造時のガス削減や、2030年までに使用電力の100%を再生可能エネルギーに切り替えを目標にするなど環境負荷低減に力を入れています。原料のパーム油はRSPO(持続可能なパーム油に関する円卓会議)認証をいち早く取得し、現地の環境と社会課題にも取り組んでいます。

鎌倉ハムクラウン商会

鎌倉ハムクラウン商会について
 自然派Styleのロースハムやウインナーを製造する株式会社鎌倉ハムクラウン商会は、文明開化の町、横浜市で高度成長期の1962年に設立。当時は赤いウインナーがメインでしたが、1970年代に「子どもたちに食品添加物のないものを食べさせたい」というに地元生協の組合員の願いに感銘を受け、試行錯誤を重ねて無塩せきで商品を開発しました。ウインナーの色が赤くなく、賞味期限も短くなったため発売当初は人気がありませんでした。大手メーカーは着手しない分野でしたが、やがて消費者の安全への意識が変わることで支持されるように。以降、素材本来の「おいしさ」と「安全」を追求し、無塩せき専門メーカーとして発色剤不使用はもちろん、保存料などの食品添加物や、乳・卵などの7大アレルゲンも不使用で、学校給食の現場からも高い支持を得ています。
※無塩せきとは、肉を調味液に漬け込む「塩せき」工程で亜硝酸塩などの発色剤を使わずにつくる製法のこと

安全性と環境へのこだわり
 主原料の国産豚肉は、一度も冷凍していない鮮度の良い肉のみ。本来の肉の旨みを感じられるようシンプルな調味料で、ウインナーは練り上げた肉を天然羊腸に充填します。ハムやベーコンは肉を塩漬けした後に味を付け、形を整えます。スモークは昔ながらの山桜チップなので変な香りや色も付きません。発注数に合わせ無駄なく製造する「受注生産」方式は非効率とも見えますが、フードロス削減にも寄与しています。包材にもこだわり、2023年から順次バイオマスや再生PET包材に切り替えています。

話を聞かせてくれた魚住治人さん

池田食品

池田食品について
 池田食品は1972年創立。埼玉県所沢市で業務用、外食、学校給食や生協向けにナンやフォカッチャなどを製造販売しています。コープ自然派へは北海道産小麦ゆめちからを使用した「フォカッチャ」、国産小麦の「フランスコッペ」のほか、2013年からロングヒットの「ママンのモチモチ手のばしナン」などがあります。

 イチオシ商品は、産直の国産有機小麦キタホナミを使用した「国産有機小麦使用のミニナン」や「自然派Styleバーガーバンズ」。ともに小麦のおいしさをしっかり味わうことができます。国産小麦は水分量が多く製造が難しいのですが、小麦の風味豊かに仕上がります。池田食品では有機農業を志す生産者を支えるために「転換期間中有機」の小麦を使用し、国産オーガニックを後押ししています。

 もうひとつのイチオシは最近登場した「モチモチあんこナン」。ナンの端っこまでぎっしりと国産小豆のつぶあんが詰まっています。通常の比率は7:3でパンの方が多いのですが、このナンは5:5の比率です。

手でのばし釜に貼りつけて焼き上げます。

ちょっと特殊なパンの製造
 池田食品の特徴は、通常のオーブンでは焼成が難しい〝特殊パン〟と呼ばれるフォカッチャやナンなどの製造を中心に行っているところ。高温の窯で短時間に焼き上げることで独特の食感が出ます。350℃~400℃の高温の釜で1~2分、パンに合わせて短時間焼成することで水分が残り〝もちもち・ふわふわ〟とした独特な食感を生み出します。ナンは焼成職人が1つひとつ発酵後の生地の状態を確認しながら形を整え、本場のナンを焼くように直接釜に流れるベルトに手延ばししたナンを貼りつけて焼成します。門外不出のこの技術で、生地の縮む力を利用した繊維状の歯切れのよいナンが焼き上がります。肝心なところはきちんと人の手をかけることで手づくりにしか出せないおいしさが生まれ、一枚ずつ微妙に違うフォルムも手のばしナンの魅力です。

ヤマキ醸造

ヤマキ醸造について
 1902年創業のヤマキ醸造は、有機JAS認証ができるより前の40年以上前から有機の味噌・醤油を扱ってきました。群馬県で「木谷製麹所」として味噌・醤油製造を開始。秩父山系の城峯山からの湧き水に惚れ込み、埼玉県神泉村(現・神川町)に工場をつくり昔ながらの製法を続けています。

 原料は国産有機・特別栽培の原料にこだわり、食品添加物は不使用。「土が作物を育てる」という考えからグループ会社「農業生産法人豆太郎」を設立して国産有機大豆・小麦を栽培しています。塩は天日塩。水はヤマキ醸造では不可欠な存在「神泉の名水」を使用。原料がシンプルだからこそ、水は品質や味を大きく左右する素材の一つです。

ヤマキ醸造の逸見拓哉さん

本物の食文化の創造
 蔵の中には直径3mもある六十五石(約1万2千リットル)の杉桶が並んでいます。代々引き継がれる伝統の醸造法で、醤油になる前のもろみが仕込まれます。発酵したもろみは生きものなので桶ごとに個性があるそう。ヤマキ醸造おすすめ商品は「国産有機醤油」や「生かをる国産有機玄米みそ」、「自然派Style乾燥国産有機玄米の糀」など。「安全安心を求める消費者の皆さまの御用を承る蔵(消費者の御用蔵)として、食べる人の健康維持につながるものをつくりたい」という強い思いを持ち、戦後の大量消費・大量生産の時代に流されることなく、微生物による伝統醸造法を継承してきました。ヤマキ醸造は「守る自然・残す自然」を会社理念とし、環境に配慮したものづくりと豊かな自然、そして伝統の味を後世に残せるよう取り組んでいます。

 連合商品委員会の今年度の産地訪問では、国産オーガニックに取り組む新しい生産者と、自然派Styleを長年支えてきた生産者を訪問しました。地域や環境などの課題をものづくりを通して解決していこうという生産者の想いを知り、今後の活動を通して伝えていきます。

Table Vol.509(2025年1月)

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