2020年8月4日(火)、コープ自然派しこく(オリーブセンター西エリア主催)では、オンライン学習会「地球温暖化ってなあに?夏休み親子セミナー」を開催、広瀬和代さん(気候ネットワーク)のお話とクイズで地球温暖化について考えました。
世界で起きていること
最初に広瀬さんは1枚の写真を提示。北極グマの写真ですが、周りの氷が溶けています。今、地球温暖化によって北極の氷が急スピードで溶けています。ヒマラヤ山脈では、1989年に山上にあった氷河が2008年には溶けて流れています。その水は海に注ぎ、この100年で海面が19㎝上昇したと言われています。海面上昇で陸地が削られ、アラスカ・シシュマレフでは住むところを失った人たちがいます。
日本では猛暑がここ数年続き、100年先には40℃以上が通常の状態になるとの予測も。このまま地球温暖化が進めばどうなるのか、今、世界中の科学者たちが懸命に研究しています。
地球温暖化による影響
西暦1000年から1880年頃までは気温変化は少なく、1880年頃から気温が上昇、ここ100年くらいで約1℃が上昇したということです。たった1℃の上昇で大災害が起き、北極グマが絶滅危機に襲われるのです。昨年起きたオーストラリアの森林火災も主に乾燥や高温、落雷などが原因で地球温暖化の影響もあるだろうと考えられています。今年は九州で豪雨災害が起き、ここ3、4年、世界各国で豪雨災害が起きています。
世界の科学者たちは、2100年には気温は最大4.8℃上昇するかもしれないと予測。そこで、パリ協定で気温の上昇を2℃までに抑える目標を定めました。しかし、2℃では不十分なので1.5℃までに抑えようという努力目標が追加されています。
このまま地球温暖化がすすむと、食物、なかでもトウモロコシや米などの穀物類が収穫できなくなると言われています。まったく雨が降らない地域では、水の奪い合いによる争いや戦争が起きる場合もあり、多くの生きものが生きていけなくなると言われています。
地球温暖化のしくみ
では、地球温暖化の仕組みはどのようになっているのでしょうか。地球は太陽の光によって温かくなります。その熱は宇宙に放出されますが、地球の周りには大気があり、大気中のガスが放出を留めています。このガスを温室効果ガスと呼び、温室効果ガスによって地球は14℃程度に保たれ、動植物が生きやすい環境になっているのです。しかし、温室効果ガスが増え過ぎると地球の周りに熱が留まり過ぎて、地球温暖化を引き起こします。つまり、地球温暖化は温室効果ガスが増え過ぎることが原因です。
温室効果ガスにはいろいろな種類がありますが、もっとも影響が大きいのはCO2(二酸化炭素)です。CO2はものを燃やしたときに増えます。私たちが出したごみはクリーンセンターに運ばれ燃やされるのでCO2を発生。電気は石油、石炭、天然ガスを燃やす火力発電所などでつくられています。風呂や炊事でガスを燃やすとCO2を発生し、自動車は少しの距離を走ってもCO2を多く発生します。最近は電気のつくり方が見直され、風力発電、太陽光発電、地熱発電、水力発電などはCO2を出さないことで注目されています。
クイズに答えてみよう
ここで広瀬さんはクイズを出します。第1問は「イチゴの旬はいつ?」A.1年中、B.秋から冬、C.春から夏。正解はCで全員正解。旬の野菜や果物はおいしくて栄養価も高く、価格も安く、旬以外の野菜や果物をつくるときには約5倍〜30倍ものエネルギーを使います。そして、運ぶときのエネルギーも必要なので地元産の旬のものが一番ということになります。
第2問は「1ヵ月続けると、もっとも多くCO2を減らせるのはどれ?」。A.テレビを点けている時間を1日1時間減らす、B.レジ袋を1日1枚もらわない、C.お湯を出す時間を1日1分減らす。正解はC。家庭からのCO2排出量は照明・家電製品など32.7%、自動車23.3%、暖房15.7%、給湯15.1%の順。シャワー1分間で使用するエネルギーはテレビ5時間分に相当するということです。
第3問は「地球にとどく太陽のエネルギーを1時間すべて使えるとすると、世界中で使うエネルギー(電気や熱)をどれくらい使えるでしょうか?」。A.1時間分、B.1ヵ月、C.1年間。正解はCでした。
自然エネルギーを使って
この夏、ぜひ挑戦してもらいたいと広瀬さんは、太陽光の熱を利用して調理する「ソーラークッキング」を紹介。ソーラークッキング成功の秘訣は、日当たりが良いところを見つける、強風を避ける、食品が安全に守られる場所を選ぶ、熱を効率よく集めて使う、など。アフリカでは電気もガスも水道もない地域がありソーラークッキングが行われています。太陽熱を蓄電する熱電池を利用したソーラークッカーもあります。
福島県では地域で使うエネルギーをすべて自然エネルギーにしようという取り組みが始まっています。アメリカ・ハワイ州では2045年までに島で使うエネルギーをすべて自然エネルギーで賄うことが法律で定められました。
そして、みんなができることを広瀬さんは提案。エコマークがついているものを選ぶ、小遣いを銀行に預けるときには自然エネルギーの取り組みに熱心な銀行を選ぶ、地球温暖化を止める活動に参加する、温暖化の勉強会などに参加して周りの人に広める、など。雲を観察したり、旬を調べたり、プラスチックごみを調べたり、ソーラークッキングに挑戦したり、ごみの裏側を考えることを自由研究で学ぶことも大切です。
Table Vol.423(2020年9月)より